冬、会議室にて 「スター、こたつ出して、こたつ。」 トミーロッドの吐いたその一言から、全ては始まった。場所は最悪も最悪。料理長並びに支部長が集まる食卓会議。身長の低い自分は必然的に椅子に座ると消失するので、スタージュンの足に腰を掛ける形での出席になる。ぷらり、と高い所からはみ出した足が空を切る。 「今は会議中だ。口を慎め、トミーロッド。」 「だって、どうせ、後で報告廻ってくるでしょ、一緒だって。」 毎回雁首そろえて出席する意味がそもそもわかんない、と見るものから見れば可愛らしくもみえる仕草で首を傾げれば、トミーロッドの信者であると思われるユーがこくりと頷き賛同を示す。 「まぁ、俺は食えりゃあ問題ねーな。」 「俺仕込みあるんで、早くしてくんないですか、」 「あー、目玉可愛い。」 それ以外はなんか自分たち事にいまいち関係のない言葉を並べる。 「ねー、スター、こたつってなに?」 小さい声でスターに問いかければ、しっ、と口元を指で押さえつけられた。騒がしい食卓でその声に気付いたのはなにもスタージュンだけではなく、一番スタージュンが気付かれたくなかった相手、トミーロッドにもその声は届いていたようで。 「ナマエは、こたつ、気になる?」 「うん、でも、今は駄目だって・・・」 ちらりとスタージュンを振り向けば、やはり怒っているようで。不機嫌そうに細められる瞳と眉間のしわ、なにより少し体温が高くなった気がする。 「ナマエ、こたつっていうのは暖房器具なの。あったかいよ?」 「スターより?」 「あー・・・駄目駄目、スターは熱すぎるし、正直気難しいから。」 今の情報でこたつというものは暖かくて、気難しくないものだというのが理解できた。だからといって形状などは一切教えてくれないトミーロッドの説明では、やはり無知な自分にはこたつの全貌など解らない。 「もういっそ、スターを中心にこたつ作っちゃう?」 「何言ってる、私語を慎め。」 「料理長が了承したら、優等生のスターは完全にやるだろ?こたつ役。」 「料理長がそんな事言うはず無いだろう、それに第一、」 「このメンツでこたつ囲んで楽しいかァ・・・ヒヒッ。」 あ、スター台詞取られたみたい。少し複雑そうな顔して台詞を取り上げた相手のグリンパーチを睨んで咳1つ。 「だ、そうだ。それでもいいのかトミーロッド。」 「僕は入らないから良いよ、別に。だって困るスターが見たいだけだし。」 にやりと笑うトミーに奥歯を噛み締める音がスターから聞こえる。職場環境っていうのはあまりよくないみたい。流石にスターがかわいそうだと思って、私、ナマエは慰めてあげることにしました。 「あの・・・スター、 ナマエはスターがこたつだったら嬉しいからね? ね?」 え、そういう意味じゃないって? back |