耳が生えました 朝起きると、最愛の彼女に髪と同色の黒い猫耳と可愛らしい尾がついていた。ぴょこんと存在を主張するように、彼女の気分と共に揺れる耳に俺の心音も揺れる。 (想像してたより、ずっと可愛い・・・。流石ナマエ!!) 「トリコ、聞いてる? なんで耳生えたのか説明して!」 機嫌の悪さを隠すことのないナマエの声色も、今日はいつもより可愛らしく聞こえる気がする。 「まぁ、そう怒るなって。 俺にも生えてるぜ?」 視界に先程から自分の気分の高揚に合わせて自然に揺れるしっぽ。正直男に耳としっぽがついたって別段かわいくなるわけでもないし、俺はそんなことより、ナマエの犯罪的な可愛さの方がよっぽど大事なのだ。 「トリコ、 聞いてるの?」 ひょいとベッドにナマエを抱えてダイブすれば、抱きしめた胸の中が苦しいのか胸板を叩く小さな手。少し腕の力を緩めてやれば、大げさに息をする彼女の頬がうっすら上気していて、下から見上げるそれは酷く扇情的にみえる。 「聞いてないでしょ! 馬鹿!」 そんな姿をしているのを気付いているのかいないのか。多分気付いていないのだろう彼女は、先程のペースで小言を口にする。彼女の小言であるのならいくらでも聞いていたいところだが、本能的に動くことを良しとする自分はそんな彼女に今、非常にキスがしたかった。 「大体、昨日の木の実があやしっ・・・・っふ、ん」 言葉をそのまま口腔に唾液ごと飲み込んでやれば、漏れるのはたがいの呼吸だけ。ざらりとした猫特有の舌が口腔をくすぐれば、体が小さく跳ねる。何周りも小さなその体を己の体で包んで撫で上げてやれば、やっと大人しくなったナマエはうっとりと目を細めた。 「ナマエ、やべ・・・かわいい。」 ごくりと唾を飲み込み、心の中で俊速で「頂きます」を済ませた。可愛らしくパジャマの裾から生えた尾を伝い、まだ夜を残すパジャマをはぎ取る。外気に晒された肌は、白く、甘く薫る。 「トリコ・・・?」 引きずり下ろされたパジャマを放り投げつつ尾の付け根を辿れば、腰の少し下あたりから毛が伸びて柔らかな尾を形成していた。制止からか期待からか躯をまさぐる腕に尾がからみつくように触る。そのかわいらしい黒色の尾に唇を寄せれば、彼女がびくりと躯を震わせた。 「髪と同じで神経も通ってる・・・て事だよな?」 「し・・・しっぽ止め・・・っ!!!」 「弱いんだ・・・? どうしよっかなぁ。」 「意地悪しないで、馬鹿・・・っ!」 顔を真っ赤にしながら、それが精一杯だと言わんばかりに見開かれた瞳。 「・・・それは、もっと他の所触って欲しいって事だよな?」 彼女からの否定がないのを良いことに、期待から俺は唾液を嚥下し、舌なめずりした。そうして始まるのは、さながら獣じみた行為に他ならない。 黒猫のタンゴ 猫の目のようにきまぐれに 情熱的に back |