ボーダーライン 「いい? 此処から先には絶対に入ってこないでよね!!」 髪の毛を結んでいたリボンを解いて、床の上に置くナマエを横目に溜息。 パウリーが木材の買い付けで留守にする間の2日。そのうちの1日ずつをカクと俺でこいつの面倒を見ることになった。前から思ってたんだが、俺と周りの奴らとの扱いが違うような気がしてならない。 「ルッチ、 聞いてる?」 「聞いてるッポー!」 俺はナマエとあまり表だって接触したことがないのでよく知らないのだが、今までパウリーから聴いた話の中では彼女がこんな神経質だとは聞いていなかった。 「・・・パウリーにも、してたか?」 「何が?」 「・・・リボンだ。」 床に短く退かれたピンク色のライン。指さして言うと、呆れた顔をして否定の言葉。 「ルッチだからに決まってるじゃない。」 「なんでだッポー!!」 「だって、パウリーは"絶対安全"だもの。」 そのいい方だとよっぽどパウリーは彼女に男としてみられていないようだ。彼女に好意を抱いてるパウリーにその言葉を聞かせてやったら、かなり可哀想である。かといって避けられている俺も、よっぽど可哀想な男であるのだが。 「それに比べてルッチは色々問題有り過ぎなの!!」 「・・・どういう意味だッポー!!」 「・・・手当たり次第とか、色々・・・噂とかもあるし・・・」 言葉切れも悪く紡ぐ言葉の内容には聞き覚えがあるし、身に覚えもあるのだが。別に手当たり次第ではないのだし、俺も健全な男として仕方ないことでも有りそうだが。 「と・・・とりあえず、用心に超したことはないんだし!!社内異性交遊は駄目、絶対!」 「ガキ相手にそんな気は起きないから安心しろ。」 その言葉に、彼女がむっとした様子でベッドに潜り込むのを確認した。自分もパウリーのベッドを借りて眠ろうと思ったのだが。 「・・・煙草臭い・・・」 布団を持ち上げた際にした、煙草独特の香り。ただでさえ敏感な鼻には、これは相当堪える。 「なぁ、ナマエ。 ベッド一日交換してくれないか・・・」 布団の中に潜ったままでは聞こえていないのか、応答はない。そっと足下の境界を越えて近づくと、ベッドには既に穏やかな寝息を立てて眠る顔。そんな彼女を自分の我が儘で起こすには忍びなく、可愛らしく眠る少女の額に可愛らしいキスだけ添えて、今日の己のベッドに戻ることにした。 押さえ込む本性 野獣が目覚めるには、まだ少女は幼すぎて back |