地獄の沙汰も色次第 すごい面白いことになっている。週刊紙のゴシップは俺の親友は馬鹿にしたように見るのだが、この長い時を有する地獄ではなかなかに面白い暇つぶしになると思うのだが。 「なぁ、これって本当?」 ぺらりとめくった先には鬼灯と新人アイドルのピーチマキとの報道である。どこまで話が盛られているのかは分からないのだが、写真に写っているのだからその場にいたのは間違いないだろう。アイドルと言うだけあって、そこそこ可愛いし。 「据え膳だったのに、喰わなかったの?」 「時と場合に寄ります。」 「男なんて機会があればペロッと食べるみたいな事を前に言ってなかった?」 「ナマエ、えげつないことを言わないでください。」 誤解を招くからと訂正を受けたのだが、俺にはどうしても同じようにしか聞こえなかったが、なんとなく機嫌が悪そうな鬼灯の神経をあえて逆なですることはしたくないので、再度また雑誌に目を落とせば、本を手元から週刊誌を取り上げられて真っ二つに破られた。 「あ。」 「あ、じゃないですよ。なんで仕事してないときにまでそんな馬鹿な事を言われなければいけないんですか。」 捨てますよ、なんてゴミ箱に二つに割れた雑誌を放り込む鬼灯を、頬杖をつきながら斜めに見る。ふてくされているなんてことは無いが、やたらとテレビや雑誌で引っ張りだこの親友を持つのだから関連の情報が気になるのは普通の事だと思うのだが。 「いいじゃない、気になるしさ。」 「・・・まったく、貴方って人は昔からそうですよね。」 「意地が悪い・・・だっけ?」 「よくわかってるじゃないですか。」 ふん、と横を向いてしまう親友は話をそこで一旦区切って手元で何か作業を始めてしまっていた。せっかくの休みなのだからもう少しゆっくり休めばいいものを。 「・・・なに、休日なのに仕事してんの?」 「仕事じゃないですよ、趣味です。」 「・・・外行かないの?」 「面倒なのはごめんですよ、人とかと会ったら疲れますし。」 そこまで言い切ってしまうのであれば、俺はどうなるのだろうかとまで考えて止めた。まぁ呼び出されたのは俺のほうだし、構わないと思われているのだろうことは大体把握できているから、ききただすのは野暮と言うものだろう。 「・・・貴方こそ、据え膳は食べない方なのですか?」 「え、時と場合に寄るけど?」 「・・・そうですか。なかなか貴方も鈍いんですね。」 「え?」 作業する手をぱたりと止めて、目を合わせれば細い目をさらに補足しながら鬼灯は嗤っていた。普段から顔が整っているのは存じていたのだが、あまり表情をあらわすことがない男がこのタイミングで笑うとかなり深く意味を考えてしまうのだが。 「・・・ナマエさんは、今が据え膳だとは思わないので?」 「・・・肉食系!!!」 地獄の沙汰も色次第 back |