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切り取られた言葉の端


執務室にばざばさと紙の落ちる音が響く。懲りもせずに何度も頭を悩ませながら書類を手渡す文官どもに、不備ばかりだと書類を投げ出しているためだ。フラストレーションが溜まるこの職場で唯一俺が楽しいと感じている行為である。

「よく、こんなんで俺に提出しようと思ったな?」

ばさりと、現在の先頭にいた男の顔が引きつる。我ながら質が悪いとは思うが、手にしていた書類を床に放る。ばさりと音をたてて拾うのをニヤニヤしながら見る俺は相当だと思う。

「そのへんにしてやれ。」

列の最後から、見知った顔が出てきて、床に落ちた書類を文官の男とともにかき集めた。

「ドレーク少将、邪魔しないでくださいよ。」
「苛立ってるのか?」
「元からです。」

あまりこういうのは良くない、と聖人面してるドレークが、実は海賊志望なんて誰が疑うだろうか。それすらもブラフだというなら、恐れ入る。

「それで?」
「今日は親睦を深めに、な。」
「へぇ、てっきり招待したのに誕生会行かなかった俺を責めたてるのかと。」
「俺がそんな風に見えるか、ナマエ?」
「あぁ、とても。」

にこりと笑って返せば、ドレークは額に手を当てて、ナマエには勝てないなぁ・・・と大笑いした。それに釣られて周りの文官達まで笑うものだから、俺は引き攣った笑顔を浮かべるしかなかった。

「まったく、貴方っていう人は・・・」

そう少しあきれながらようやく口から吐き出した言葉に、ドレークは満足そうにうなづくと、昼は奢ってくれていいぞなんて軽口を叩きながら肩を抱いてきた。それにさらに溜息を表面上重ねながら小さく頷いて了承を示せば、ちょうどよく終業の合図の鐘が鳴った。

「でも、嫌いじゃあないだろう?」
「・・・・・・そうですね。」
「まったく、素直じゃないな。」

少し残念そうなドレークを横目に、並んでいた海兵たちを部屋の外に手を叩いて追い出す。俺は無駄な残業はしない主義と知れ渡っているので、今日追い出された奴らはどうせ明日の朝一にも並びに来るのだろう。

「・・・・・・・・・、・・・・・・」
「ナマエ、何か言ったか?」
「お誕生日おめでとうございました、って言っただけだ。」


切り取られた言葉の端

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