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空から大地への拍手喝采


ぽつぽつ ぱらぱら ざあざあ

どんどん酷くなっていく雨に、悪態を付いてしまいそうになる。雨は好きだ。だけど、あまりに酷い雨になると話は違ってくる。山に近いから山崩れが心配だし、何より部屋干しというのが辛い。

「・・・名前ー・・・お前さん、“外出するのが〜”みたいな台詞は出てこないのかねぇ?」

名前ちゃんがあまりにも若者らしくなくて、悲しい。と泣きまねをする滝川さんに一言。

「だって私、用が無いならあまり外出したくない引きこもりですから。」
「それでいいのか大学生。」

でも旅行は好きですよ、と少し変な反論をしてみたけど、滝川さんは苦笑いしかしてくれなかった。

ばちゃばちゃ ばちゃばちゃと水が弾けるような音が聞こえる。夜まで降りそう、いや、もしかしたら明日まで止まないんじゃないんだろうか。

「・・・・・・あの、滝川さん。」
「ん、どしたの。」

そう滝川さんの声を聞いた後、外の景色を一直線に切っていく雨を見つめながら口を開いた。

「もし今外へ行ったら、傘差しててもずぶ濡れになりますよね?」
「あー・・・。」

私がそういうと、少し考える素振りをみせ。

「風邪、引くかもしれんな。」と、ぽつりと呟いた。結局ぎりぎりまで粘ってみたけど、雨は止まないし、弱まることもなかった。

「送ってもらうなんて・・・わざわざすみませんねー。」
「別にこれぐらい良いって。たまにはおじさんにどーんと任せなさいや。ほら、どーんと。」

そう軽く言いながら、私の横でハンドルを操作している。

「別に自分の足で帰ったのに・・・。」
「あのなぁ名前。もう少し自分の体を労わってやれよ。」

私が外へ出ようとしたら「送ってやるって。」と言われたのは、車に乗る少し前の出来事。確かにありがたいけれど、申し訳ない気持ちが起きてしまうのは仕方がない気がする。

「あー・・・その、悪いな。名前。」

急に何を言い出すかと思えば、滝川さんの口から出たのは私に対する謝罪の言葉。

「は?どういう事ですか。」
「俺さ、はっきり言う。こういう雨・・・結構好きなんだわ。」
「・・・どうしたの、いきなり。」

別に雨の好き嫌いで謝られるとか、私そんな心狭くないよ。と言ってやれば、違う、違うと首を振られる。

「雨を理由にお前をぎりぎりまで引き止められるだろ?」
「・・・・・・・・・はい!?」

それに、長く一緒にいられるだろ?とあっけらかんに言う滝川さんの所為で、五月蠅いであろう雨の音もかき消されてしまった。


空から大地への拍手喝采
 

(よくもそんなっ・・・恥ずかしいこと、言えますね!!)
(あー悪い悪い。俺が悪かったですよー。)
(悪いと思ってないですよね!?)

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