ショート | ナノ
今が食べ頃


開けてみれば、何かが糸を引いて、落ちた。
「・・・食べれる・・・かな。」
「名前・・・何やってんだ。」
「あ、ギルにルート。」

ここの家主達が帰ってきたのを見て、私は机の上に置いていたモノを指さす。

「これ、食べようと思って。」
「・・・・・・た、食べれるのか・・・?」
「いや、分からないけど。」
「おまっ・・・名前お前、最近食中毒流行ってんだぞ!?」
「・・・大丈夫だよ、多分。」

ルート達に「やめろ」と言われてしまい、なんだか悪いことをしている気になってしまう。

「でもだって、勿体ないじゃん!」
「いや、もうそれは勿体なくてもやめておけ!」

そう言ってルートがラップをさらに剥くと、普通の物とは違う香りが漂う。

「・・・ほ、ほら名前。こいつ、やべえって!」
「・・・・・・・・・食べた後に緑茶を飲めばいける。」
「お前の緑茶に対する絶対的な信頼は、一体何処から来るんだ!!!」

そしてギルにも名前、本当にやめておけ!!と言われてしまい、何となく躊躇してしまう。

「・・・でも、でも・・・これ・・・。」

おにぎりですよ・・・お米が勿体ないじゃないですか・・・!!と言えば、呆れられてしまった。

「もしかしたら食べれるかもしれません。」

梅干しと緑茶があれば。と言えば、ルートに頭を軽く叩かれてしまう。

「だから、食べるなと言っているだろう!」
「そうだぜ、名前!勿体ないかもしれないが、肥料にしてやれば良いじゃねぇか!」
「むー・・・食べたいじゃないですか。」

だってきっとこれ、菊さんが作ったやつだと思いますし。と言って、じっと机の上のおにぎりを見つめる。海苔の色が若干変わっているような気もするけど、コレは湿気っているからなのだろうと判断してみる。糸が引くのは・・・うん、きっとあれだ。納豆の成分が入っているんだよ。

「だからさ「駄目だ。」・・・。」

・・・そんなに言わなくても良いと思うんだけど。食べさせようだなんて言ってないんだから。そう呟けば、ギルが「・・・なんでそんな腐った奴食べようと思えるんだよ。」と言っている。

「馬鹿だね、ギルは。」
「何だよ、名前。それってどういうことだ。」
「よく言うじゃん。」

『腐りかけが一番美味しい』って。と言ったら、2人に殴られた。


今が食べ頃


(でも、2人が悪いんだよ!冷蔵庫の中にずーっと置いておくから、こんな事に・・・!!)
(冷蔵庫・・・?俺は知らないぞ兄さん。)
(・・・あ、やべ。忘れてた。)
(・・・・・・兄さん。)

  back