ショート | ナノ
全部全部甘く包んで


今日のために持ってきたあるものを持ち。
誰に言うわけでもなく大きな声で挨拶をして、そこに足を踏み入れた。

「あーららら・・・何か、いらない感じですかね?」
見えるのはカラフルな色の大きな山と、それを囲む男の人たち。(あと、泣きそうになりながら作業している人たち)
「ん・・・あぁナマエか。毎年恒例なんだがな・・・ンマー、大変なんだな、これが。」
「・・・・・・の様ですね。じゃぁ、失礼しま「マァ、待てナマエ。それとこれは話が違うだろう。」
え、良いんですか?と聞けば、当たり前だろう。とアイスバーグさんに言われる。
「じゃぁ・・・これアイスバーグさんので、これがルルさん、タイルストンさん、パウリーさんで・・・後これらは皆さんで食べてください。」
そう袋から取り出して言っていると、周りから野太い歓声が響き渡った。

今日個人チョコレートの方々はみんな来ているというので、一人ずつ渡しに行く。
だけど、一人見あたらない。
「あれ、パウリーさんは何処ですかね?」
「あいつは・・・今日は造船所からは出ないと思うがな・・・。」
ルルさんに聞くと、ファンからのチョコレートの量が半端無いらしい。しかもおまけにあのパウリーさんだ。
「・・・破廉恥破廉恥って言うんですね・・・じゃぁ、良いか。あの人にはメッセージだけで「おい待てよ、ナマエ!!」あ、いた。」
振り返ると、顔を真っ赤にさせたパウリーさんが居た。(今までどこにいたんだろう・・・。)
そして、パウリーさんが私の方へ手を伸ばして、一言こう言った。
「・・・ん。」
「いや、『ん。』って何ですか、私そんなこと言われても解らないんですが。」
そう言うと、「ナマエ、お前、前後の会話で理解しろよ!」と、怒られてしまう。
「貰ってやる・・・・・・あるんだろ、おい!」
何故かまた怒られながらも、私は袋の中からパウリーさんのチョコレートを取り出す。
そして、彼の目の前に出して私はおそるおそる聞いた。
「あの、別にいらなかったら良いんですよ・・・?」
「・・・ナマエのは、いるに決まってるだろう!」
やっぱりまた怒られた。


今だけ、その言葉は甘く、消える。
 

「・・・・・・うめぇ。」
そういうと、ナマエは嬉しそうに頬を緩めた。
照れくさくなってそっぽを向くと、周りがこっちを見ている事に気が付いた。

(・・・・・・っ、こっち見てる暇があるんなら、さっさと働けえぇぇぇ!!)


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