束になったレッドカード 「あれ。」 講義が終わり、電車を乗り継いで家に帰ってくると、玄関辺りに人影が見えた。宅配便の人なら紙を置いて帰っているだろうし、今日は客が来るなんて家族から聞いていない。不審者か?と考えてしまうのは一般的な考え・・・だと思いたい。 「あのー・・・どちら様って、滝川さん!」 「お?やっと来たか。」 名前ちゃんの為に俺、待ってたんだから。とへらへら笑いながらそう言われる。あえて言おう。今日、貴方との予定は無かったはずですけど。 「で、何のようですか。むしろ何時からここに?」 「えー用がねぇとだめ?」 「・・・不審者としてご近所に通報されても良いなら良いですけど。」 「大丈夫だって、ほれ、今回だって通報されなかったし。」 何故か自信満々にそう言われ、軽く頭を押さえる。 「事前予約ぐらいしてください。」 淡々と言って扉の鍵を開けにかかった私に対して「本当に言い方が可愛くないなー。」と、文句を言われる。終いには昔はもっと可愛かったとか言い始めている。(悪かったな、可愛くなくて。) 「・・・そう言えば。結局いつから待ってたんですか?」 かちゃりと、鍵が開く音を聞きながら、そう尋ねてみる。 「名前はどの位だと思う?」 「あの・・・私が聞いたんですけど。」 「まー、そんなこと気にすんなって。」 おまえさん細かすぎるぞ。と何故か注意されながら、何も考えずに「10分。」と答える。 「惜しい。」 「じゃぁ、何分ですか。」 「多分30分ぐら「おしくも何ともないですし、そんなに暇なら仕事してください、仕事を。」 馬鹿じゃないの、そう言おうと思ってしまった口を何とか噤んで、そう言い返す。弁解させて欲しい。私と滝川さんは別に恋人みたいな甘い関係ではない。(あえて言うなら知り合い。)なので家の前で何の用もなく待たれても困ると言うわけで。 「まぁ、用があるっちゃぁ・・・あるんだが。」 「何ですか。」 「名前の顔を見に来た・・・じゃ駄目?」 笑ってそう言い、挙げ句の果てに私の頭を撫でるのも困りもので。 「っ・・・だめ、です。」 貴方に絶賛片思い中の自分にとって、そう言う行動全部まとめて、反則だと思うのです。 束になったレッドカード (結局、滝川さんを中に入れてしまっている時点で、自分も自分なんですが。) back |