感謝して食べて下さい 自分の部屋の時計が、昼少し前の時を告げた。それを聞いた私はというと、大急ぎで台所へと向かっていた。今日の昼食の献立・・・何にしようかな?もういっそのこと、適当に作ってみるか。そう思い、私は調理の手を動かし始めた。 「美味しい」と言われるのか不安だけれども。 「ナマエ、これ美味しいわね。」 そう言ってくれたのはフランだ。 「本当!?」 「ええ。・・・また当番の日になったら、作って頂戴?」 そんなこと言われたら、また作るしかないでしょう! ここは当番制で料理を作るということになっている。(ヴァンのは食べられたものではなかったので、当番から外された。) 「ナマエ。・・・私からも頼もう。」 そう言うのはバッシュ。(彼も当番に入っている。これぞ【漢の料理!】というような豪快な料理。) 「タマネギが美味い。トマト味というのもなかなかいけるな・・・。」 「バッシュ・・・そう言ってもらえると、私もがんばれるよ。」 「しかし、ナマエってデザートもうまいけど、普通の料理もうまいよな!」 バッシュ達の話を聞いて、そう言うヴァン。(物食べながら喋るなよ・・・。) 「人並みだよ。」 そうヴァンに言いながら、私は周りを見た。みんな美味しそうに食べていた。(少し嬉しかったりする。)が。 「・・・バル?」 「・・・・・・どうした?ナマエ。」 そう聞いてきたバルフレアの皿は、料理が残っている。 「調子が悪い?それとも・・・。」 私は、故意に残したと思われる皿をバルフレアに突きつけた。 「嫌い・・・なのかな?」 そう言うと、バルフレアは目をそらした。 「・・・。」」 おい、図星かよ。主人公は、好き嫌いなんてしないんだぞ!!(いや、本当なのか知らないけどさ。) 「わかった、バル。お前は自分でご飯作れ。」 「・・・ナマエ。それはないだろう!?」 もう私は腹をくくりました。こいつの分は作ってやらない。(『美味しい』って言ってくれるかと思ったのにさ・・・。酷いよ。)なんだか悲しくなって、私は逃げ出した。バルフレアが何か言っていたが、私はそれを聞かず走った。 「はぁ・・・。バルフレアのばーか。」 空を見ながら私はそう呟く。ラウンジが私のお気に入りの場所だ。 「せっかく作ったのにさ。ふざけんなっていうの。」 独り言が、風に乗って青い空に吸い込まれていった気がする。(いつ見てもここの景色は良いなぁ。綺麗だ。)だから私は・・・。 「バルフレアのばーか、アーホ、嘘ーつきー、女ったらしー。たらしー。たわしー。」 空に向かって叫びまくった。すると、後ろから声がした。 「俺はたわしなのか、ナマエ?」 「誰がそんなこといっt「ナマエ」・・・・。」 そう言いながらこっちへ近づいてきた。そして、どかっと音がした方を見ると、隣にバルフレアが座っていた。 「すまなかった。」 「・・・えっと、バッシュだっけ?「違うに決まってるだろ。」 謝るって言うと、どうもバッシュしか思い出せない。しかし、イキナリ何を言い出すんだ? 「その・・・残しただろ?お前が作ったやつ。」 「あぁ、別に気にしてないよ?怒ってるけど。」 私の言葉を聞いて、ぽそりと呟いた。(冷や汗をかきながら。) 「あれ、美味かったぞ。」 聞こえないように小さくしたのだろうけど、隣にいるから聞こえているわけで。 「本当?」 「あぁ。美味かった。あの食材以外は。」 それを聞いて、嬉しくなった。(ちらっと変なことが聞こえた気がしたが。) 「そっか、良かった。・・・本当に美味しかったんだよね?」 「当たり前だ。ナマエの料理は美味いのは、俺が保障する。」 俺の彼女にしたいくらいだと言うバルフレア。また冗談を言っているのかと思い、私はこう言った。 「冗談ばっかり言っていると、本命に逃げられるよ。」 「冗談じゃない。」 「はいはい。わかったよ、バルフレアー。」 そう軽くあしらってやると、彼は舌打ちをする。こんな事を最近繰り返している。(あぁ、平和だなぁ・・・・・・。)世界から見れば平和ではないが、ここは本当に平和だ。 「あ、そうだバルフレア。」 そう言う私に、視線を向ける。彼が聞いてくれる合図だ。 「美味いのを保障してくれるんだったら、感謝して全部食べてね?」 それを聞いて、口元が引きつったのがわかった。好き嫌いを無くすことも大事だけれど。 この平和が続くことを私は祈ろう back |