扉の向こう側 ・・・廊下に立ちつくす。それもこれも全てこの扉の向こうでの事が原因だ。先ほどお茶を入れてこいと大佐に言われて入れてきたはいいのだが。今日来ていたのは鋼の錬金術師。まぁ簡単に説明すると二人はなんだかんだ付き合っていると言う噂。 「なんか入りづらいなぁ・・・。」 中でいちゃついてたら今より凄く気まずい事になる。とりあえず扉に片耳をつけて時を伺うことにしようと近づけると聞こえてきたのは、大佐の声と思われる声で。しかもなんか普通の会話ではなくて。 「っ・・・鋼のっ・・・うぁあっ!!」 「どうして欲しいの、大佐?」 噂を完全に信じていた訳では無かったがここまで来ると信じるしかない。二人は付き合っている(確定) そんでこの扉の向こうでにゃんにゃん〈古い〉してるに違いない。 「あっ・・・もっと強く・・・っ!!」 「こう?」 (いやぁぁぁ・・・!!そこ私の職場なんですからこれからも仕事するんですから!!) 「痛っぁ、ぁあ・・・!!やっぱりやめろ・・・鋼のぉっ。」 (あれ・・・てゆうか攻めはエドワードさんなんでしょうか、この場合。) というか何を冷静に考えてるんだ自分。混乱してぐるぐる回りながらもくり広がる妄想世界。 「もう、根をあげるの、大佐?」 「鋼・・・やぁっ、も、いいからぁっ!!」 「本当にいいの?」 (この鬼畜ちび豆がぁあああ!!我らがアイドル大佐をなんて事を!!) 派手に扉をバァンと開けるとそこには笑顔のエドワード。驚きすぎて手に持った珈琲ごと後ろに転ぶ。 「・・・うぇ?!」 もはや、何がなんなのかもう解らなくなってきた。 「なんで?なんで、なんで?!」 頭から珈琲を被ってうろたえる自分をソファから降りた大佐が見つめている。 「あれ、なんで大佐も?!もしかして、って、えぇぇ?」 大佐はぴっちり軍服を着崩すことなく着ていた。 「「お前は何を想像してたんだ?なぁ、ナマエ」」 「うぇっ・・・(泣」 4つの鋭い目が痛いくらいに突き刺さる。やっぱり噂は噂だったのだろう。 「だって、同僚の女の子たちが言ってましたし、まさかとは思ったんですけど・・・っ」 こうなってしまった以上、洗いざらい話す以外に選択肢なんてものはない。 「エドワードさんと大佐が恋仲だって、いうからぁ・・・っ、うえっ、っく、」 しかも、その噂を聞いてからあんな会話(?)を聞いたら誰だって誤解するじゃないですか。 「俺はただ、大佐が肩が凝ってるって言ったから、揉んでただけだぜ?」 「ですよねー、あは・・・あははははは。」 もう、この場から早く逃げたかった。 「それじゃ、着替えて、珈琲入れ直してきますっ!!」 そそくさ、とこの場から逃げようとすると二人に腕を捕まれる。 「ちょうど服濡れてることだし、着替えさせてあげるよ?」 「詳しく事情も聞きたい事だし?」 手早く大佐とエドワードがナマエの軍服を脱がしにかかったとき、扉が開いた。 「大佐、エドワード君、あなた達いったい何をやっているのかしら。」 「リ・・・リザさん!!助かりましたぁ!!」 救世主現るとはこのことで。 「早く、着替えてらっしゃい。」 その言葉に背中を押されて扉を出ようとしたときに両側から小さい囁き声。 「また今度って事で。」 「覚えておきたまえ、ナマエ。」 その言葉に顔が引きつったのは間違いないだろう。 勘違いは命取り 後日、先日の噂はかき消えて、かわりに大佐とエドワードがナマエを狙っているらしいと噂されていた。 back |