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笑って誤魔化す悪い癖


久しぶりに合った友達。そう言うものとはまた違っていたが、恋人というのもまた二人を表すには適していないように思えた。

「ねぇ、兄さん。せっかくだから二人でちょっと出かけてきたら?僕は大佐の所で待ってるから。」
「なんで?アルも一緒にこればいいじゃない!!」
「何遠慮してるんだ、お前。」

アルの言葉に少し戸惑う二人は顔を見合わせた後、反論する。表情は鎧のせいで解らないがその声色で表情がなんとなく理解できる。きっと今は笑っているのだろうと思えた。

「だって、兄さん。昼食まだだったでしょ?僕は大丈夫だから一緒に行っておいでよ。」
その言葉に二人は押し黙る。アルフォンスがその事を気にしているのは二人とも知っていたから。

「・・・解った。」
先に口を開いたのはやはり兄弟のエドワードだった。
「そのかわり、大佐の所でおとなしくしてるんだぞ?!」
「はーい、解ってるよ。どっちかって言うと僕は兄さんの方が心配だなぁ・・・」
アルフォンスはそう言って送り出してくれた。

食事の時は昔の事や、旅のこと、今の研究成果について話し合った。幼いが二人ともが各地を旅している錬金術師であったため、情報を共有出来ることはありがたかった。楽しい時間はあっという間なのだとこの日あらためて二人は知った。

「そろそろ、アルを迎えに行かないとな。」
「・・・そうだね。向こうもエドのこと心配だろうし。」
途中まで道が同じだからついでに送る、とエドが言ったので言葉に甘えることにした。

二人で並んで道を歩く。冬の時間はいつもより余計に早く、太陽がうっすらとオレンジ色に空を染めていた。エドワードの歩行速度はゆっくりしたものだった。10分ほど歩いた所でエド歩くことを止める。

「・・・どうしたの?」
「前から気になってたんだけど、お前、足痛めてる?」
確かに先日、訪れた旅行先でテロの爆破に巻き込まれ、大きな怪我は無いものの多少足を捻っていた。

「別に、そこまで痛い訳じゃないし。大丈夫。」
「ばーか、そんな歩き方して痛くないなんて嘘だろ。」
その場にエドワードはしゃがみ込むような姿勢をとる。
「こいよ、担いでやる。」

「やだ。重いし。」
「俺は鍛えてるから大丈夫なんだよ、おとなしく担がれろ!!」
ほら、と差し出される背中に仕方なく飛び込んだ。

「案外、重いのな。」
「ばっ・・・、だから言ったのに。もう降りる!!」

担いで少しずつ歩き始めたエドワードに言ったが、聞き入れてくれる様子はない。しかも心なしか顔が赤いように見えた。それを見て、つられて顔を赤くしてしまう自分はなにかおかしい。だって、エドワードはただの友達なのに。

「ねぇ、エド?」
「ん?」
「・・・やっぱり何でもないよ。」
「何だよ。」

今更、同じような事をしているエドワードに自分が言える立場では無いのは解っていたけど。無茶するなとか、心配だとか、何か言いたいことがあるのだが、それに合った言葉を見つけられない。

「・・・何でもない。」
「言って見ろよ、気になるだろ? 怒ったりしないから。」
「じゃあ言うけど・・・」


笑って誤魔化してしまう悪い癖


『足、引きずってますけど・・・』
『俺がお前より小さいって言いたいのかよ!!』

(事実、そうなんだけど、そうじゃなくて!!)

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