ショート | ナノ
独奏曲


こんにちは。俺はパスタとピッツァが好きなお茶目さん、フェリシアーノです。今日もルートヴィヒの所へ遊びに行きます。(兄ちゃんを連れて。)

「ドーイツ、遊びに来たよー。」 
「お前らはまた来たのか!?」
そう言うドイツの隣には、綺麗な男の人が。俺はビックリしました。なんでかっていうと、・・・ムキムキじゃないから!!!!


「ジャガイモ野郎。お前の隣にいるのは誰だ?」
ルートヴィヒをビシリと指を指しながら、私の方を見てくる。

「ん・・・あぁ、こいつか。」 
「ジャガイモさん、自分が名乗りたいんですけど。」
ちょっと自然に言ってみたつもりなのだが、どうやら気付いたらしい。 
「・・・ナマエ。」

そう言いながら、こっちを見てくる。(・・・ルートヴィヒ、怖いよ?)そんなルートヴィヒを見なかったことにして、私はにこやかに話した。

「あ、私はナマエって言うんだ。よろしく。」
「ナマエか・・・女の子みたいな名前だね。あ、俺はフェリシアーノって言うんだ。こっちは俺の兄ちゃん。」
「ふーん。・・・『女の子みたい』じゃなくて、『女の子』なんだけどな。」

そう私が凹むと、ヴァルガス兄弟は弁解をし始めた。
「うわわわわ!!ご・・・ごめんよ!綺麗な人だと思ってたんだけれど、男の格好をしていたから気付かなかったんだ!!」 

そう言うヴァルガス兄弟(弟)のフェリシアーノと。 
「すみません。こんな綺麗な方を、男に見間違えるなんて・・・。これもお前のせいだ!!」と言って、ルートヴィヒのせいにしてしまうヴァルガス兄弟(兄)のロヴィーノ。そんな2人をみながら、私はこう言う。

「いや。動きやすいからと言って、男の服を着ていた私も悪い。」

でも、男と間違えた君らも悪い。・・・とは言わなかったが。ちらりと時計をみると、約三時頃。あれは、2人だけでは食べられないと思い、この兄弟を家に上げた。(ルートヴィヒは凄くいやな顔をしていたが。)ルートヴィヒ達を椅子に座らせ、私はコーヒーとフルーツケーキを持ってくる。 

「わー、美味しそう!!」
そう言って、皿の上にたくさん乗ったケーキを食べるヴァルガス兄弟。
「ん・・・やはりナマエのコーヒーと菓子は美味いな。」 
さっきまで不機嫌だったルートヴィヒも、口の端を上げながらコーヒーとケーキに手を伸ばす。(でも、なんか少し不機嫌だなぁ・・・。)そして、そんな光景を見ながら、私もケーキに手を伸ばす。

「今回は上手くいったんだよね。・・・ローデリヒさんにはまだ負けますが。」
「あいつの食材はそこら辺の物とは違うからな。仕方がないだろう。」
と言いながら、コーヒーを飲み干すルートヴィヒ。そして、こっちにカップを出来るだけ近くに置いて、ヴァルガス兄弟と話し始める。

「・・・おかわりですか。」
のんびり呟くと、私はキッチンの方へ歩いていった。この後、あの3人が喧嘩をするとも知らずに。コーヒーを持っていくと、妙に険悪なムードがそこに漂っていた。ついでに言うと、ルートヴィヒが凄く不機嫌になっている。(せっかく機嫌が良くなっていたのに。)そんなことを思いながら、近づいていくと、ルートヴィヒがいきなり立ち上がった。

「俺は・・・そんなこと許さないからな。」
そう言って、何処かへ出ていってしまった。 
「・・・ナマエ。ルートヴィヒはそんなに僕たちの家に来るのは嫌なのかなぁ・・・?」
「え、あいつは好きなはずだよ?そう言う観光。」

いきなり何を聞くのかと思いながら、答える。すると、ヴァルガス兄弟がこう言った。
「『ナマエを家に招きたい』って言ったら、怒ってでて行っちゃったんだ。」

それを聞いて不思議に思った私は、ヴァルガス兄弟を置いて、飛び出した。さっき、叫んで飛び出した俺は、ごろりと自分の部屋でくつろいでいた。そうしていると、ばたばた音が聞こえてきた。そして、扉が激しく開けられたと共に、ナマエが転がり込んできた。
 
「・・・ナマエ、何しに来た。」
「なんで、私がフェリシアーノ達の所に行くのを反対したの?」
普通は喜ぶところだろうと言いたそうに、ナマエは俺をみる。

「お前だけ、としか俺は聞いていないからだ。」
「あ。フェリシアーノ観光好きだもんn「違う。」
そう言い、俺は近づきながらこう言う。 
「ナマエが目の前から消えるのが怖い。」

精一杯、わかりやすく言ったつもりなのだが、何を言っているのか解らないような顔をしている。『あぁ、そう言えばこいつは変なところで鈍感だったな。』とか思い、色々考えてしまう。どうしたら、こいつに伝えられるのか。

ふと、俺はあることを考え、もっとナマエの傍へと近づく。言葉で伝えられないのであれば。 そして、ナマエの腕を掴み、自分の腕の中へとたぐり寄せる。 
抵抗もなく、腕の中に入ったことに笑えたが、今は気にせず腕に力を込める。そうすると、ナマエが身をよじる。痛いのだろうが、さっきの言葉で解らなかったお前が悪い。
 そして、そんなお前に。


今こそ この思いを君に伝えよう
 


後日、ルートヴィヒとナマエがイタリアの町をのんびり歩いているのを、見つけたフェリシアーノは考えた。『なんで、あの時ドイツは反対したのだろう?』と。

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