ショート | ナノ
この気持ちは、ぼけない


「はい、ボルサリーノさん。笑って笑ってー。」
そう言って、わっしの頬をぐいーっと持ち上げるのはナマエちゃん。

「ナマエちゃん・・・一体どうしたの?」
「え?何って、呆け防止ですよ。」

どうしてコレが防止に繋がるのか気にはなるけれど、まぁいいか。と彼女のやりたいようにさせてみることにした。

「・・・ボルサリーノさん、自発的に笑ってくださいよ。」
「いやぁナマエちゃん、いきなり笑ってって言われてもねぇー?」
いきなりどうしたのさ。と聞かれれば、渋々私の行動の理由を話し始める。

「・・・・って訳なんです。」
「へえぇー。」
理由というのは勿論呆け防止。笑ったりするだけで呆けになる率が減るという話を聞いたから、こうやって実践したのに。
本人はそれを聞いてもそんな返事しか返してくれなくて、なんだか頑張ってる自分は何なんだ。とさえ思ってしまう。
「・・・・・・呆けたって、私、知りませんからね。」
そうふてくされながらボルサリーノさんに言ってやれば、目の前のこの人はニコニコ笑っている。
「・・・・・・ねぇ、ボルサリーノさん?」
「なに?」
「何で今更になって笑ってるんですか・・・。」
「わっし、笑ってる?」と聞いてくるボルサリーノさんは、めちゃくちゃ、清々しい程にニコニコしていらっしゃる。 笑ってますね。と少しイラッとしながらそう答えてあげると、何が嬉しいのかまたニコニコしてくる。
「ナマエちゃん。」
「何ですか。」
わっし、きっと呆けないから安心して。と言われ、「はぁ。」と曖昧な返事を返すしかできなかった。 その返事に苦笑するボルサリーノさんを見て、首を傾げる。
「・・・何ですか?」
「いやぁー・・・わっしは、幸せ者だと思ってねぇ。」


心配性な私と楽観的な彼


好きな子に心配されて嬉しくない奴なんて居ないよ。と言われ、私はボルサリーノさんに一言。
「ボルサリーノさんの、ばーか。」
この位の悪態は付いても罰は当たらないはずだ。そう思いながら呟いた私の頬は熱くて。

「・・・ほんと、ボルサリーノさんのばか。」
そう言っても、彼はニコニコ笑っているだけだった。

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