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素直じゃない君


「なぁ、アーサー。」
「ん、どうかしたか?」
俺は読んでいた本を降ろして、彼女を見た。
「“悲しみを忘れるのに、ドイツ人は酒を飲み。”」
「・・・?」
「“フランス人は歌を歌い、スペイン人は泣き、イタリア人は眠る。”」
そこまで言われて、俺の所のことわざって言うことが解った。
「で・・・なんで俺の所のことわざを引き出してきたんだ?」
「ん?じゃぁアーサーの所の人たちはどうするのかなぁ・・・と。」
「え・・・さぁ。」
「・・・まぁいい。お前の行動から考えてやる。」
そう言って、彼女は一瞬考え込んでから、口を開いた。
「料理という最終兵器をつくって、嫌いな相手に食わせて憂さ晴らしをする。「違う!第一、不味くねぇ!!」
「・・・皮肉を言いまくってストレスを発散させる。「それは・・・あるかもな。」
「んー、魔術で嫌いな奴を呪う「あー・・・。」
「酒を飲み過ぎて、いろんな意味でやばくなr「おい、まて。」
途中で止めるのは紳士じゃないが、言いたいことがありすぎる。
「最後の、誰から聞いたんだ。」
「ん?フランシスさんから、『あいつ、本性やばいよ』って。」
「あの野郎・・・・・・。」
まぁ、フランシスは後でぼこるとして。
「なぁ・・・俺のイメージって・・・。」
「・・・上記に記しました。一言で言うなら、【元ヤンで色々やばい偽紳士】」
「一言じゃねぇ!!!」
そう俺が叫ぶと、彼女がぽそりと呟いた。
「まぁ、そう言うところを含めて好きなんですがね・・・。」
それを聞いて、俺は少しどもりながら聞いた。
「な、何か今言わなかったか?・・・も、もしなんか言ったなら、もう一回言っても良いんだぞ?」
「いーえっ。なーにも言ってません!!」


素直じゃない君


(俺も・・・なのか?)

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