ショート | ナノ
砂糖よりも甘い結末


『好きだ。』
『わ、私もです///』
ざばーんとイルカが空飛ぶなか、彼女は近づき、そして。

「・・・『彼女が嬉しそうに俺を抱きしめた。』・・・・・・ってナマエ。なんだこりゃ。」
「・・・・・・駄目ですか「いや、もうお前が何を書きたかったのかもわからねぇよ。」・・・ですよねぇ・・・。」
実は、自分もそう思っていたんです。そう言って、黒い列が連なっている紙をおれから抜き取ると、眉間に皺を寄せる。
「甘いのってなんですか。純愛、青春って何ですか!?」
「・・・取りあえず、こんな感じじゃねぇって事だけは分かるな。」
そう俺が言うと、菊、本気で恨んで良いですか・・・と、小さく聞こえた。

どうしてこうなったのかは簡単である。話を書くのが好きなナマエに菊がリクエストしたのだ。コイツが一度も書いたことのない角砂糖が沢山入った甘い話を。
「と言うか、ナマエ。このスラッシュとか、書き方がらりと変えすぎだろ。」
「・・・ですよね、分かってます。でも、こうした方が甘めに見えるかなぁって・・・。」
あ゛ー・・・と頭を抱えて突っ伏したナマエをみて、何故か気の毒に見えてきてしまう。
「童話だったら書けるのに・・・。「じゃぁ、そうすればいい。」・・・駄目って言われた。」
それだったら苦労はしない。と言いたげな顔を俺に見せてから、もう一度突っ伏した。

「ネターネター・・・ネタが降ってこーい。」
突っ伏しながら手だけが動くその様は、俺から見ても、少々不気味に思った。
「・・・そう言って降ってきたら物書きは成り「あ!!」・・・降ってきたのか?」
否!とにこやかな顔をしてそう言うナマエに、馬鹿じゃねぇか。と言おうと思った瞬間。
「アーサー!君の恋の経験を少しくれないか!」
「・・・・・・・・・は。」
何言っているのか分からないで居る俺に対して、「うん、それがいい。」と頷いているそいつ。
「実体験なら、書ける気がする。と言うか、書ける。」
ニコニコ笑ってそう言うナマエに俺は溜息を付きながら、口を開いた。

「俺は、昔から一筋なんだよ、馬鹿。」
「・・・片思い・・・うーん、甘くないな・・・。」
そう言って、考え始めたナマエに俺はすかさず言った。
「俺の実体験、甘くできる方法がある。」
「え、ホント?」
じゃぁ、頼んだ!と言いそうな口を自分ので塞いで、ゆっくりと放してやる。
「お前がOKって言ったら、そこでハッピーエンドだ。」
まぁ、これで終わらせねぇけどな。そう思いながら、にやりと笑った。


ハッピーエンドのその先に
 

真っ赤にして、こっちを見ていたナマエは、しばらくたった後、「少し、考えさせてください・・・。」と言った。
全くもってこちらのヒロインは紙の上のヒロインと違って、少々大人しいようだ。
俺はそう思いながら、その言葉を了承して、もう一度さっきまで座っていた椅子に座り直す。
そうして、また彼女はペンを持って書こうとする。だが、ペンをまたすぐ机に置いてしまう。
その様子をみて、内心俺は笑った。
思うに、すぐに返事が返ってくる。
そう確信してしまったからだ。

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