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×が多いこの世界


「“I have many friends”位の英語能力があれば生きていけるんだって!」
「でも、学校的には駄目なんだぞー。それに名前・・・。」
ちらりとアルフレッドが私の手の辺りをのぞき込んでくる。
「・・・bとd間違えてるんだぞ?もう基礎からやり直した方g・・・。」
「ちょーっと黙ってろ?と言うか、それぐらい知っていたさ。」
私はアルフレッドの顔にクッションを押しつけ、その隙にbをdに書き換えた。

夏休みの宿題として、英語のワークが出ていて。出来なかったところはやり直せと言う、過酷な宿題。
しかし、英語が使われている所にしてみたら、簡単・・・だったりする。
「・・・フランシスよりはまだマシだけど。菊の方がもっと出来てたぞ?」
「五月蠅い。菊さんは日本の方の中でも凄く頭がいいの。私なんか下の下の下なんです。と言うか、英語と数学以外では君に負けない。」
そう言って、カリカリと書いていく。
「あー、その訳は違うよ。その単語はここでは・・・・・・。」
何か言っているのは解る。でも。
アルファベットが只並んでいるような気がしてならない。(でも、名前さん頑張るよ!)

「でも、駄目なんだよなぁ・・・。」
そう呟いて、ポテリと頭を机においた。そこから見える時計は30分ほどしか動いていない。
「まだ、全然解けてないじゃないか!」
そう言って、大半が真っ白な紙の上にポトリポトリとパンのカスを落としていく。
(これ、提出なんだよ。解っているのか・・・?)
「でもね。もう、私は駄目なんだパトラッシュ。」
「俺は犬かい!?」
「あー、ごめんね。パトラッシュに失礼だったよ。うん。」
そう言って、私はもう一度シャーペンを握りなおした。

なぁ、名前。そう言って話しかけると、俺の方向に頭を動かした。
「せーっかく俺が教えているんだから、もう少し早く終わらないのかい??」
「だー、かー、らー。英語って言うか、アルファベットが苦手なんですよ。」
あー、うー。とか言って、それでも何とか頑張ろうとしている名前。(もし俺が名前だったら、即座に止めてるね!)
その時、俺の頭の中で何かが閃いた。
「そうだ!名前、英語漬けになれば良いんだぞ!!」
「・・・えっと・・・それは某ゲームソフトの・・・?」
それじゃないんだぞ。と言えば、名前は首を傾げる。
「俺の家にこれば、英語が出来るようになるんだぞ!」
そう言うと、名前はキョトンとして、「遠慮しておきます。」と言った。
「えー!?何でだい!!」
「ご飯が不味いし色がやばいから。」
「・・・・・・アーサーのよりは良いと思うんだぞ。」
「五十歩百歩って所だ。」
あーでも。と名前が話を続けたので、底辺を這い回っていた自分の気持ちを起きあがらせる。
「毎日私の食べれる料理があれば、そっちで暮らしても良い。」
「え・・・名前!?」


それってどういうイミなのさ!!

                                       
「え、ホームステイって事だろ?」
「あー・・・うん。そうなんだぞ。」


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