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寒咲さんから:リクエスト品


「異動・・・ですか?」
「あぁ」

よく晴れた昼下がり、センゴク元帥からそれは突然告げられた。

「私は一介の海兵ですので異論はないのですが・・・あの・・・」
「赤犬には話は通してある・・・」

その日みた元帥の顔は、ひどく疲れて見えたのは気のせいではなかっただろう。



「・・・元帥からぬしを異動しろと話がきた」
「先ほど私も伺いました・・・」

執務室に戻ると大将赤犬から呼出された。内容は先ほどの異動の話だ。いつもの何倍もの威圧感を放っている気がしてならない・・・

公私混同はしないように見えて、実は一番しているのはサカズキ大将な気がしてならない
恋人同士になってから数年経つが、この人の嫉妬深いところには少々手が付けられたないことがある。この異動は私には地雷にしか思えないため、受けたくなかった・・・

「・・・命令じゃけぇしゃぁない・・・はよぉ終わらせて帰ってこい」
「え、あ・・・はい」

元帥の命令だ、誰も逆らえないから仕方のないことだ。さすがのサカズキ大将もわかってくれているようで安心してしまっていた。



「青雉大将!!また逃げるつもりですか!」
「休憩だよ休憩、あまりにも根つめると効率落ちちゃうでしょ?」
「根詰めなきゃいけない程溜め込んだのは誰ですか!?」
「うっ!いや、あ!ほら、ナマエちゃんも一緒に休憩しようよ!疲れたでしょ?」
「大将さえきっちりしてくだされば休めます。やってください」
「・・・きびしいなぁ・・・ナマエちゃん美人が台無しだよ?」
「そんなこと言ってる場合ですか!どれだけ提出書類が滞ってるかお分かりですか!」
「え〜・・・」

異動してから1ヶ月。何とか来たときよりは書類は減った気はするが、まだまだ部屋を占める書類はある。不眠不休の休日出勤、サービス残業で1ヶ月頑張ったのに半分も減らないとは・・・。逃げ出そうとしている所を捕まえて、口実を作っては休もうとする青雉大将
毎日毎日これのせいで進まない気がする。あと青雉大将のやる気のなさだ。

大将3人を足して割ったらちょうどいい人間が出来る気がしてきた・・・。巨体が首かしげてもかわいくないしうれしくない。一ヶ月で眉間の皺が出来た気がする。

「それに私は数ヶ月の派遣のようなものですよ、赤犬大将のところでも仕事が溜まってるんです早く終わらせてください・・・」
「ナマエちゃん疲れたよ〜」
「御自分の責任です、早く終わらせて下さい」
「冷たい・・・」
「当然の報いです。書類届けてきますのでその山終わらせて下さい、そしたら休憩してかまいませんので」
「多くない?!」
「それは今日提出書類です。逃げないでくださいね」
「う〜・・・」

両手いっぱいに書類を持って部屋をでる。さすがに1週間すぎた頃から私が居ないときに逃げ出さないようにしてくれたようだ。1週間毎日捜索に時間をかけるのにキレて、放送で訓練中の海兵使って一斉に探させたのが効いたらしい。これから届ける書類は期限がとっくに切れているのばかりで、謝罪もしてこなくては。

1ヶ月まともにサカズキさんに会えてない。会えても書類届けるだけだし、すぐ帰らなきゃいけないし・・・。




「失礼します。クザンさん、ただいま戻りま・・・・」

ドアを開けたら、そこは地獄絵図でした。

「・・・・・・ナマエ」
「さ、サカ、ズキ・・・さん・・・あ、の・・・」

部屋にあった書類はどこへやら。多分サカズキさんの能力で燃えて、青雉大将が火事を防ぐために凍らしたのだろう。部屋が全面的に氷付けになっていて、サカズキさんの周りだけ解けている。サカズキさんが倒れた青雉大将の頭を持ってこちらを向き、ドスの利いた声で私の名を呼んだ。寒さと恐怖心で腰が抜け、大量の冷や汗が出て言葉がうまく出てこない。弁解をしようにも、口がうまく動いてくれない。サカズキさんはといえば目が完全に座っている。

「とろいから見に来てみりゃぁ、よそ見の原因はこんなぁか・・・」
「っ・・・?!ちが、よそ見、なんて・・・」
「ええ度胸じゃのぉ、ぬしが誰んか忘れたか?」
「そん、な・・・!・・・っ!」
「・・・いってぇ・・・サカズキ、これは、酷すぎじゃないの・・・?」

完全にキレているようで、私の話なんて聞く耳を持たない彼は、手に持っていた青雉大将を壁に叩き付けた。割れる音の直後に、びしりと氷の張る音がした。

「とろい貴様が悪い、こりゃぁ持って帰るけぇ・・・」
「きゃっ・・・!」
「あー・・・書類どうすんだよ・・・全部燃えてなくなってやがる・・・」

サカズキさんは青雉大将と話ながら、私を肩に担ぎ上げた。殺気は消えず、青雉大将が喋れば喋る程増えている気がする。

「たまにゃぁわれがなんとかしたらどうだ・・・一ヶ月ワシのを貸しちゃったんじゃろうて」

そういいながらドアを乱暴に開けて、青雉大将の部屋を出て行く。ドア越しに少々焦ったえーっという声が聞こえたが、サカズキさんはソレを無視して廊下を進んでいく。



「っ・・・!あ、あの・・・サ、カズキ、さん・・・」

辿り着いたのはサカズキさんの執務室で、奥にあるサカズキさん専用仮眠部屋のベッドに乱暴に落とされた。


「誰のもんか、もっぺんわからせちゃるけぇ・・・」


食物連鎖

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