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寒咲さんから:あけおめ文


「あ、年明けた」
「あぁ、そうだな」

テレビの中では、年明けに騒ぐ人が映し出され、この部屋にいる私たちとは無縁の空気に感じられた。別に新年がくる事に抵抗がある訳ではない。幼なじみのオルオと一緒に年を越すのが、何も珍しいことではないのでなにか新鮮みがないというか。

「ねぇ」
「あん?なんだよ」
「オルオ、なんで実家帰らなかったの?当然のように今ここにいるが」
「な、お、お前がこっち残るからお前が寂しくないように俺がいてやったんだ!感謝しろよ!!」
「なんで?」
「は?!」
「いや、さみしいとか言ってないし、頼んでないしね」
「おまっ!可愛げってもんがないのか!」
「なぜオルオごときに可愛げなんてださないといけないのよ・・・」

生まれた時から大学までほとんど一緒にいる所謂幼なじみなのが、オルオと私。地元から離れたところに入学を決めたので、一人暮らしを始めた。何故かオルオも一緒のマンションで家は隣とか、なんの因果だろうと疑ってしまうほどの偶然なのか必然なのか知らないが未だに一緒にいる。大学に入って初めての年末年始、親が年越しを海外で過ごしたいと言い出しため、ついていくのもなにか野暮な気がしたので、遠慮して私は今の下宿先で年を越した。

大掃除を終えて、お風呂に入ったら鍵開けろってメールきて、部屋に入れたらこたつ占拠して今の今までいるという。お前のためとか・・・よけいに意味が分からない。親にでも頼まれたとか?

うーん、よくわからないがうるさいからこれ以上言わないでおこう。
そろそろオルオが舌噛みそうだし。

「みかんちょっとちょうだい」
「は?自分で剥けよ」
「そのみかん、私が買ってきたんだけど」
「・・・ほらよ」
「ありがと」

みかんは食べたい剥くのがめんどくさったので、オルオが剥いてるのを半分横取りしてテレビにもう一度向き直る。

「うぐっ・・・!」
「ばか」

みかんを食べながら舌を噛んだらしい。喋ってないときに噛むとか、やはりばかである。

「初詣いく?」
「初詣?あー、お前がどうしても行きたいなら、ついて行ってやってもいいぞ」
「・・・うざ・・・」
「なっ?!お前・・・また!」
「ちょ、そんなことで泣かないでよ...」
「泣くかよ!」
「いや、涙目だし・・・」
「だから泣いてねーよ!バカ!」
「舌噛むオルオには言われたくないけど」
「・・・なんなんだよ・・・こんなつもりじゃ」
「なにがこんなつもりなの?」
「な!なんでもねーよ!」

オルオを見ながらお茶を注ごうとすれば、急須にお茶がない。お茶を入れるためにこたつから台所に行きながら、もう一度オルオを見ればまだ何かブツブツ言っている。恐いから近づかないでおこう・・・


触らぬ神に祟りなしだな
オルオが神様とか神様に失礼だけど

「おい!」
「んー、なに?」
「その、なんだ・・・」
「あ、お茶?今作るから待っててよ」
「ちげーよ!」
「うるさいなー、じゃぁなに?」
「あー、その、初詣行くぞ!!!」
「はぁ?この時間に行くの?寒いし人多いじゃん・・・」
「うっせー!俺が行きたいから行くんだよ!着替えてくるからお前も着替えとけよ!!」
「・・・はいはい」

うわー、うぜー・・・

しかしここで反論すれば涙目になってうるさいので、ため息1つ小さく吐いて同意をして着替え取るためクローゼットを開く。

あ、お湯・・・
もういいや、帰ってきたらもう一回湧かすか



「おい、行くぞ」
「あ、はーい」
「ん」
「は?なに?」
「っ!・・・手、繋いでやるつってんだよ!」
「えー、別にいいよ・・・」
「な!はぐれたら困んだろが!いいからつなげよ・・・!」
「はいはい・・・あ、オルオ」
「あ?」
「明けましておめでとう、今年もよろしく」
「あ、あぁ・・・」


今年もよろしく


  *   *   *
相方からお年玉をいただきました(*'ω'*)!強請ってみるもんだな!!
進撃はオルオさんがいちばんすーきーよー!!!ありがとう相方!!

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