きっといつまでも渇かない クザンが居なくなって、あいつの保護していた幼子はひたすら泣くようになった。 お前になら託せるからなんて臭い台詞と共に託されたのは本当に小さな幼子だった。くりくりとした大きな瞳がうるりとわっしを映して、くしゃりと顔を歪める。いかにわっしが多少戦桃丸くんのような年の離れた子を可愛がっているといってもそりゃ無理だよ。だって戦桃丸くんは泣かない強い子だったし。 「ふぇえええ、クザンー!!!」 「・・・何で子供ってこんな面倒かなァ〜?」 どう足掻いたって、クザンは帰ってこないと説明してもいいけど、そんなことをしてさらに泣かれては敵わない。本当にいい加減にしてほしい。小さいけど下にはきっちんとついてるんだからもうちょっと男らしくなったらどうだい。 「もう諦めなよォ〜・・・」 「嫌だ・・・」 「泣きわめくだけでそれが叶うっていうんだったら、やってたらいいけどォ。」 思い出したように日中突然泣き出すこともあるシオンにはきついようだが、いい加減幼い頭でも理解してもらわなきゃ、わっしが困る。 「本当に、クザン、帰ってこない?」 「ああ、帰ってこないだろうねェ〜。」 「もう、会えない?」 「・・・・・・さぁねェ。」 そんな先の事までは知るわけがないだろう。子供のたわごとなのだからきちんと答えてやりゃあいいとは思っているのだが、そこまで無情にもなり切れない。こういうのは戦桃丸くんのほうが歳も近いだろうし良いと思うんだけど・・・。 「・・・僕が、強くなったら会える?」 「・・・かもねェ〜」 「なら、もう泣かないから・・・。」 途端に泣くのを止めたシオンに少しだけ感心しつつ、机の上に走らせていた筆を止めて見やる。ぐいぐいと擦る赤くなった目元が痛々しい。 「冷やしときなよォ。わっしが虐めたみたいだし。」 「・・・・・・ん、」 「いい子にしてりゃ、今度の遠征にこっそり連れてってやるから。」 あのあたりの海域でクザンににた男の目撃証言も上がっていることだし、運よく見つけることができたなら、そのまま押し付けてしまってもいいかもしれない。どうせ再会なんてしたらこの子ぐずるだろうし。わっしとしてはどちらでも構わない。 「・・・ん、」 「本当に、クザンの事好きだねぇ・・・シオンは。」 「・・・・・・ボルのことも、好きだけど・・・?」 「へぇ・・・」 きっといつまでも渇かない 幼い子供は泣くとカロリーを大きく使うのだろう、今日もすやすやと寝息を立ててソファで眠りについたシオンのやわらかい黒髪を撫でれば、やはりシオンの目には涙が浮かんでいる。まぁ、寝ているときまで泣くなとはわっしは言わないけれども。 「クザンは、大馬鹿野郎だねェ・・・」 こんな可愛い子を残して無責任に勝手に飛び出しちまうんだから。任務が優先なので見つける予定は今のところないのだけれど。もし、見つけることがあったのならわっしからも一言言わせてほしいことが増えてしまった。 title by たとえば僕が back |