企画 | ナノ

元部下と仁平鮫の場合


「か、」
「か?」
「・・・かわいい。」
「お前さんは相変わらず、目がどうかしとる。」

大きく溜息をつくジンベエさんの脇に両手を差し入れ、持ち上げる。だいたい10歳前後かな、と言った所だ。小さいし、軽いし、なにしろちょっと不機嫌そうにしかめられた顔が、拗ねている子供みたいで可愛らしい。

「え、両目とも良すぎるくらいですけど。」
「そういう事じゃないわい!」

これでも王国警備兵(狙撃班長)なのだから、そこまで目は悪くない。勿論、人を見る目のほうの意味でも、だ。

「いや、昔から可愛いなぁとは思ってたんですが、ちっちゃ、かわいい!!」

膝の上あたりに下ろして、写真をバシャバシャと遠慮無しに撮る。げんなりしながらも、なんだかんだで付き合ってくれるジンベエさんはやはり優しい。カメラで撮れる最大枚数が終わって、ジンベエさんのほうを向き直れば、少し顔を赤くしながら「もうええか」、なんて聞いてくるのだから、抱きしめて「写真は、ね」なんて言ってしまう。有給休暇もぎとってきてよかった!

「写真の他は、何があるんじゃ。」
「俺が、堪能します。」
「シオン、おぬしという奴は・・・。」
「恋人なんですから、有休使ってイチャついたって問題無いでしょう?無体は働きませんし。」
「う゛・・・、」

いつもより若い肌の感触をむにむにと手で楽しんでいれば、少し不服そうな顔のジンベエさんと目が合う。

「なんて顔してんですか。」
「やっぱり、若い方がええんか。」
「いや、子供が好きと誤解を受けてるんだったら、」
「そう言う意味じゃ無いんじゃがの。」
「・・・何度も言わせて貰うけど。俺はジンベエさんしか見てないし、これから見る気もないからな!」

一息で言い切って、ジンベエさんの目を真っすぐに見れば、照れ混じりに俯かれる。ああ、かわいい!

「俺はジンベエさんであれば、それでいいです!」
「・・・本当に、お前さんの、そう言う所が憎めんのじゃて。」


どう転んでも砂糖の山

どちらかというとワインより焼酎などを好むジンベエが、ちょっぴりとだけしか飲まなかったワインのラベルをつまみ上げる。そこには俺が昔噂で聞いた、若返りの秘薬の名前がワインにしてはポップなロゴで記載されていた。

「こどものワインかぁ・・・鷹の目も粋な中元寄越すもんだよな。」
「・・・素直に賛同できんのはなんでじゃろうな。」

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