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副隊長と不死鳥の場合


「ひ、よこ?」

蒼く燃えるような羽は健在なものの、その体の大きさは普段見ている青い不死鳥のマルコのそれとはひどく異なり頼りなさげにその再生の炎を揺らめかせていた。

「・・・解ってる、マルコ、だよね?」
「・・・よい。」

ぷぅと苛ついたように膨らむ胸も動作も元のマルコと変わりないのだが、子供らしいというか雛のマルコがやるとすごい可愛らしい。よく動物の子供の破壊力がすごいとは言うが、不死鳥もその例外に漏れず可愛いものだった。

「・・・赤髪に一枚喰わされた。」
「へぇ、」

ぴょいとマルコを両手でつかんで。手のひらに乗る雛をベッドから抱きかかえて扉を見た。これは親父にちょっと見せてこなくては。その意志が分かるのだろう、両手で持ち上げた手を酷く嘴でつつかれた。

「何するんだ、マルコ。」
「・・・どうせ3日後には戻る代物だよい。つまり、親父にそこまで心配かける必要は無ぇよい。」
「一応報告義務が副隊長の俺にはあると思うんだけれども。」
「隊長の俺が要らないってもかよい。」
「そりゃあ・・・船長に報告無しって不味くないか?」

別に3日で戻るし、白髭の船を襲おうなんて猛者はいないだろうし。いざとなったらイゾウあたりにこっそり話せば出撃隊を交換してもらえる気もする。エースも最近戦闘がなくてうずうずしているようだったし。いざとなれば心許ないが自分が一番隊を率いて出撃してもいいだろう。その際はきっとみんな不審がるだろうが。

「・・・まぁマルコだし、書類整理とかするから3日こもってるとか言えば、なんとかなりそうな気もするけど。」
「だろうよぃ。」
「本当に部屋から出る気無いわけ?」
「・・・ねぇよぃ。」

その返答にため息。それならさっさと食堂に行って二人分の食事を取ってこなくては。エースが起きてくるといろいろ食堂が忙しくなるだろうから。

「じゃあ朝飯取ってくるから、おとなしく待ってな。」
「・・・よぃっ。」

ベッドにおろせば、不安そうに瞳を揺らすマルコに苦笑。小さくなる前もかわいらしい性格をしていたのだが、小さくなってさらに幼いような仕草が増えたものだから吃驚だ。どうやら心細いといった顔でこちらを見るマルコの頭をなでて部屋を出る。仕方ないだろう、どうあがいても腹は減るのだから。

「すぐ帰る。それまでに人型に戻っておけよ。」
「解ってるよぃ。」
「・・・すぐ戻る!」
「零さねぇようにな、」


独り占め期間発生

「・・・っはー、持ってきたぜ。」
「急ぎすぎだよい。そんなに急がなくても良かっただろい。」
「待たせちゃまずいかと思って・・・って、うわ。」

いつもの薄桃色のシャツを若干だぼりと着こなし、ベッドの端に腰掛けるマルコ。俺の発した声に少し不機嫌そうに細められる目もいつもより少しだけ大きく見えるのは気のせいではないはずだ。

「・・・思ってたより縮んでてびっくりしたよぃ。」
「さっき雛だったら俺は戻ったら幼児だと思ってたんだけど、まだ・・・」
「まだ、なんだよぃ。」
「結構幼児じゃなくてきちんと青年だなぁと思って。」

15、6程度かなと言った様子のマルコに少しドキッとしたのも事実だし、恋人同士なのだから隠すこともないだろう。昨日だって二人でこの部屋で無茶をしたのだから。

「・・・シオン、」
「今日はしないって。昨日疲れただろうし。」

でも三日もあるのだしその間にはね?と首を傾げてお伺いを立ててみれば、マルコは呆れ交じりに小さく頷いた。

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