企画 | ナノ

少将さんと煙准将の場合


「おい、朝起きたら縮んでたんだが。」

どういう事だ、とひとしきり一人で驚いたあと、横でぐーすか寝ていた恋人を揺する。スモーカーは目をあけてこちらを少し見たあと、また夢の世界に戻っていく。そんなスモーカーくんも可愛いけど!

「スモーカーくん、お願い起きて!」

もふり、と布団に体重かけてダイブしてみても、10歳前後に縮んでしまったこんな小さな体では威力は無いだろう。いつもならきっと考えられない体の軽さである。

「布団剥いちゃうぞー!」
「・・・できるならやって見ろ。」

休日だから寝かせてはやりたい、寝かせてやりたいが今はもうちょっとこちらの状況も考えて欲しい。布団の端を握って引いて見るも、身長などとともに無くなってしまった筋力ではスモーカーに巻き付いている布団を剥くのは難しそうだ。

「スモーカーくん、」

お願い起きて、と耳元で囁いていれば、ようやく覚醒したスモーカーと目が合った。若干不機嫌そうに歪めた顔を一瞬で青ざめさせて慌て出すスモーカーは慌てすぎてベッドからでる際に足を布団に絡めて転びそうになっていた。転ばないところがたしぎちゃんとは違うところだろうか。

「お前、誰だ。」
「いや、シオンだよ。」
「俺の知ってるシオンはそんなにチビじゃねぇ。」
「そうだね。」

むにっと頬を抓ってくるが、如何せん作りものでないから普通に痛い。何か証明になりそうな物があれば良いのだが・・・あ。

「あっ、スモーカーくん。俺の肩と背中見て。」
「あ゛?」

多分このあたり、と手で背中を撫でればぴり、と皮膚が引き攣る感覚。まちがいないだろう。

「その傷がどうした。」
「昨日のだと思う。」

縮んでしまっているから爪のサイズは合わないかもしれないが、昨日抱き合ったときに出来た男の勲章ってやつだ。にっこり笑えば、顔を真っ赤にしたスモーカーくんが大きく腕を振りかぶる。

いつもみたいに頭から受けたら流石にまずいだろうか。やばい、と本能的に避ける体制をとったものの、スモーカーくんは自分の頭上で苦い顔をしていた。

「・・・どうしたの、スモーカーくん。」
「いや。流石にまずいかと思って、な。」

落ち着くためかスモーカーはベッドの横の葉巻を取って火をつけるが、どこか動きがぎこちない。

「ねぇ、スモーカーくん。」「なんだ、シオン」
「あ、認めてくれた?」
「グランドラインだからな。何があってもおかしくはねぇだろ。」

目で訴えてくるのはひたすらに不安だろうか。ゆるく頭をくしゃりと撫でる手つきは普段とはあまりに違って壊れ物を扱うようだ。

「体に異変はねぇのか。」
「とりあえずは無さそう。」
「そうか、」
「明日になったら研究所に行って原因調べてくるから。」

それまでに戻れば良いけど、と言えばスモーカーくんは戻らなかったらどうするんだ、なんて心配そうな顔を浮かべた。


「戻るよ。絶対戻らなきゃ駄目だしね。」

可愛い恋人に手も出せないなんて拷問以外のなにものでもない。と力説すれば、若干いつもの通りの反応が返ってくる。

「・・・見た目が良いだけに余計に中身が残念に見えるんだが。」
「外見が変わっても、中身は同じだからね?」


体は子供、思考は大人


「というわけで、ちょっと慰めて。というか少し触らせて欲しい。」
「いい加減にしろ。」

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