弱り目になんとやら 走ってきた鏑木さんの足音が聞こえてきたので、私は一旦作業を止める。 「お疲れさまです。・・・全て、ありました?」 「何とかな。」 どこからかもらってきたのだろうと思われるビニール袋の中を覗き込む。・・・確かに全部ありそうだ。 「・・・じゃぁ、寝かしつけてあげないと「『雅さん』、待って下さい。」・・・何でしょう?」 そう言って彼を見ると、さも当たり前のように「代わってください。僕がやります。」と言われた。 「連続の処理は・・・危険ですよ。」 「一般市民に任せられません。」 「・・・。」 この人、どうするかなぁ・・・。少し沈黙があった後、『雅さん』がそう呟いた。 「OSU番号。」 「は?」 「知ってますか?」 「・・・いえ。でも番号があると言うことは、既成でしょう?」 「すみません、鏑木さん。帽子、貸していただけませんか?」 そう言うと、ぱちんと音が聞こえた。どうやら彼女はこのまま解体を再開させるらしい。 「ちょっと・・・!!」 なんて強情な人なんだ。そう思いながら、僕は急いで止めに走る。コードは切ったから、起きる時間は永遠に止まったままだ。それをきちんと確認した後、私は後ろをくるりと振り向いた。 「既成であって、既成じゃない・・・意味が分かりますか?」 「いいえ。」 「爆発に必要な部分は既成ですけど・・・残りは個人の自由。要はカスタマイズokなんですよ。」 作った本人の欲望が反映されるために、1つ1つ解体方法が違ってくる。 「元々・・・戦争で簡単に処理されないように、と作ったらしいですけど。」 「もうそんな必要がねぇ、と。」 その鏑木さんの言葉に、軽く頷く。 「今では作成時や処理時の難しさ、危険性等から製造は中止になってますけど。たまに闇市場で流れてるとか何とか。」 その辺りは管轄外なのであまり分からない。けど、この番号を持っているのは厄介だと言うことは分かる。だから任せてください・・・と言えば、腑に落ちない顔をして溜息を大きく付いた。 「まぁ・・・ここまで解体出来てるって事は、資格持ってるみたいですし。仕方がありません、良いですよ。」 と、何故か上から目線で了承された。 「でも、もし危なくなったら僕が代わります。・・・良いですね?」 「りょーかいです。・・・でももう下手に触らなければ、後は処理班に任せれば「おい・・・雅!、何かまた時間動き始めたんだけど!!」 災難は連続で来るって事か・・・とか思いながら、私は急いで爆弾の前に座った。 Misfortunes never come singly. 「本当はおじさんが何か触ったんじゃないんですか?」 「触ってねぇよ!」 「あのー・・・ちょっと静かにしてくれません?」 すると、バニーに「そうですよおじさん。何もしてないんですから、黙るぐらいはしたらどうです。」と言われる。俺だって、材料持ってきたっつーの!と小声で反論して、一時喧嘩は中止になった。 back |