君の隣 | ナノ


グリーンデイズ


若干忘れかけていたハリーを地面から引っ張り上げて、マザースネークの背に乗って凄いスピードで着いた場所は鉄平が現在暮らしているという本拠地。早いのはハリーの背中で慣れているのだが、ここまで早いと心臓が持たない。

「げほっ、がはっ、吸い込む所間違えた・・・。」
「つくしくねぇな、ホラ、着いたぜ。」

タン、とマザースネークから慣れたように飛び降りたサニーに鉄平が続く。俺も降りようとしたが、どうにも先程から息が苦しく咳が止まらない。

「・・・ちょ、待ってって・・・ば。」

先にハリーだけ降ろして、落ち着いてから降りようとすれば、鉄平が下で大きく手を広げて叫ぶ。もしかして飛び降りろとか言ってるのか、もしかしてなのか。

「そのまま飛び降りろー!」
「ばっか言うな、っ、」

お前に受け止められる程、そこまで弱っちゃいない・・・と言いたかったが、よくよく考えれば今は若干回復してるものの俺、重症患者だったわ。よく考えれば咳が止まらないのもそのせいのような気もする。

「・・・落とすな、よっ!」

咳き込みながらも足場を蹴って、下の緑に向かって飛び込む。落とすな、もっと言えば衝撃もなんかいっしょに喰らわない程度に優しく抱き留めてくれると嬉しい。こちらは完全にもう受け身を取る気はないのだからこれで落ちたら大怪我だ。

空を切る風の音を耳で聞きながら、近くなる足場を目でしっかりと捉える。若干落ちる予定の場所がずれているが、あいつならやれるだろう。あとちょっと、と言ったところで瞬間感じる人の腕の感触。

「ナイス、きゃーっち。」

流石でしょ、俺・・・!とかいって調子に乗る男の肩で息をする。若干落ちた時の衝撃を感じたせいで更にダメージを受けたが、予想ほど酷くない。流石っちゃ流石だ。

「・・・さっさと直せ、」
「もうちょっと、ありがとうとか言えないのかな・・・?」
「・・・直ったらな。」
「じゃあ感謝もこめて後でチューしてくれればいいよー!」
「却下だ。」

なんで鉄平にキスをしなければいけないのか、冗談でも願い下げである。従兄弟同士でチューとかどう考えても薄ら寒いだろう。まぁ直ったら素直に感謝くらいはしてやろうか、なんだかんだで世話にはなっている事だし。抱きかかえられた格好のまま、部屋の中まで運ばれてベッドに寝かせられる。

「よし、じゃあ取りあえず横になって、寝てて。」
「キチンと直してね。」
「ったく、言われなくてもやるってば。」


グリーンデイズ


「あ、失敗しても怒んなよな?」
「・・・変な所ばっかり師匠に似て帰ってくるんじゃねぇよ、馬鹿。」

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