ちょっと死にそうです シルフィンが倒れた。それを聞いて、おれは医務室へと向かった。普通の雑用以上に動き回っているあいつが倒れるなんて冗談だろう。そう思いながら中へはいると。 「あー・・・スモーカー・・・たいさ。」 ふにゃふにゃした声でそう言ったのは紛れもないシルフィン本人だった。 「で・・・何で倒れたんだ?」 船医にそう聞き、しどろもどろに原因を言った瞬間。おれはシルフィンの頭を殴った。 「うわぁっ・・・いった!」 「あの、大佐・・・一応患者なんで「自分の体調管理もしっかり出来ねぇのか、てめぇは!」あの・・・聞いてください・・・。」 「す、すいません。船医さん、私が悪いんで・・・うわ、何かグラグラする。」 身体起こすと辛いですね、これ。そう言ってシルフィンは笑うと、また頭をベッドに落とした。 「いやぁ・・・すいません。」 「もういい。寝てろ。」 さっき捕まえた怪しい奴らの攻撃を受けたのかと思いきや・・・。 「日射病と・・・なんつった?」 「・・・す、睡眠不足です・・・っいた。」 また殴ると、後ろの船医がまた五月蝿くなったので、外へ追い出す為に物資調達を頼んだ。 「・・・で、何でそうなったんだ?」 「うーん・・・そう言う体質なんです。としか言いようがないですよね。」 スモーカーさんにそう尋ねられ、私はそう言うしかなかった。それでも何故か腑に落ちていないスモーカーさんに、ちょっと溜息を付きながら話し始める。 「眠りが浅いのは知ってますよね?倉庫の前よく人が通るし・・・あと、一人で寝る時は特に頻繁に起きてしまうんですよ。」 「・・・日射病の方は?」 「え、それも言うんですか?」 そう聞くと、当たり前だ。と言わんばかりにこちらをギロリと睨むので、私は慌てて話し始める。 「うわっ、あの・・・そう言えば熱い所や乾燥している所、身体にあまり合わなかったなぁ・・・ってハハハ・・・スイマセン。」 だんだんと目がきつくなっていくその人に、もう、苦笑いしか出来なくなっていた。 挙げ句の果てに、その人は盛大な溜息を私にプレゼントして、ドアの方へと向かっていった。 助かった。そう思った瞬間いきなり振り向いたので、私は少し身体が固くなる。 「シルフィン。」 「え。あ・・・はい?」 最後の最後にまた怒鳴られるのかと覚悟していたけれど、相手の言葉はそれとは全く違って。 「今はおれの部下だ。・・・おれの部下には自分の管理も全く出来ねぇ奴はいらねぇ。」 「・・・気を付けます。」 「水分とって、安静にしとけ。」 「!・・・はい。」 そう言って出ていく姿をみて、私は自然と彼を呼び止めていた。 「スモーカーさん。」 「・・・・・・なんだ。」 「ありがとうございます。安静にしてます。」 そう言うと彼はそっぽを向いて、頭を軽く掻き「治ったら、仕事が待ってるぞ。」とだけ言って、外へ出ていった。うん、いい人だと思ってゆるゆると口角をあげると、ふと、備え付けの棚に何かが乗っているのに気が付いた。 「薬・・・。」 手にとって確認してみると、どうやら眠り薬のようである。あまり薬は・・・とか思ったけれども、船医さんの行為を無下にしてはいけないと、蓋を捻る。 「17歳以上は2錠・・・か。」 薬を取りだし、近くにあった水を含んでそれらを流し込んだ。しばらくすると、抵抗できないような眠気が襲ってきて、そのまま私は眠りについた。いまなら、良い夢が見れそうな気がする。そう思いながら。 お休みなさいと言う口で 目が覚めると、目の前にはスモーカーさんがいて。 「あ、おはよーございますー。」 と、スモーカーさんの眉間のしわにも気付かずそう言うと、寝起き早々怒られた。 「シルフィン、てめぇ・・・甲板で何か物音か銃声がしたら、ちょっとは気付ねぇのか!」 「え、物音?銃声?・・・・・・・寝てたんでちょっと・・・。」 そう言うと、またスモーカーさんに怒られた。「大きな音がしたら、起きるぐらいの根性見せろ!」・・・とのお達し。 いや・・・流石にそれは理不尽だと思います。と言う言葉を飲み込んで、私は甘んじてお説教を受けることに。 今もまだ続くスモーカーさんの説教の中での話を聞くに、私は丸一日寝てたらしい。 それぐらい疲れてたって事だから、そこまで怒らなくても良いのに・・・。そう思いながら、私はスモーカーさんに気付かれないように小さく溜息を吐いた。 back |