教えてあげよう 「こんな所で会うとは思わなかった・・・。」 ローグタウンで、外見が著しく言っていた特徴と当てはまる男を見つけた。 拝啓保護者様。もしかしたら、貴方の言っていた人物に遭遇したかもしれません。 「こんなハズじゃぁなかったんだけどなぁ・・・。」 そう呟きながら誰もいなくなった死刑台まで、苦無を取りに歩き出した。話は少し前に遡る。保護者様が言っていた人物によく似た人が、死刑台に居て、殺されそうになっていた。それを見て助けようと思った私は、死刑(?)を執行しようとしている人の刀に向かって、苦無を投げたのだ。まさかその後、雷がそこに落ちてくるとは全く思いもしなかったけれども。私の計画では、苦無に当たった刀が地面に落ちて、死刑(?)を免れるはずだった。 「・・・こんなはずじゃなかったのに・・・。」 同じような言葉をもう一度呟いて、私は見つけた苦無をしまう。地面を確認して、人を殺していないことにホッとするのも束の間。周りには海軍と海賊が居るのに、私が探している奴が見あたらない。 「・・・あれ?」 逃げたという結果に行き当たるまでに、18秒もかかってしまっていた。海軍が道にぐじゃぐじゃ居たので面倒くさくなって屋根伝いに走っていくと、探していたそれはすぐに見つかった。 屋根から降りて近づいていくと、こちらを見たスモーカーさんが嫌そうに口を開いた。 「シルフィン・・・何のようだ。」 「いえ、そこの男に用がありまして。」 そう言って通り抜けると、彼はもう一度口を開いた。 「コイツを開放しろとかだったら、話は聞けねぇ。」 「あ、それはないです「ねぇのかよ。」はい、無いです。」 少し、聞きたいことがありまして。と、にこやかに答えると、私はそいつにもっと近づいて尋ねた。 「少年少年、名前は?で、その帽子どうした?」 「あ、おれ?おれの名前はモンキー・D・ルフィ。この帽子は宝物なんだ、友達から貰った!!」 その時、私の脳裏に「そいつの名前?ルフィってんだ!!」と笑っていた保護者様の顔が過ぎった。 「・・・・・・・そう。」 それを聞いて、私はそいつににこやかに笑いかけた(つもりだ)。そうした後、スモーカーさんの方を見て口を開いた。 「コイツ、捕まえちゃって良いですよ。」 「「ええええええぇ!?」」 そうスモーカーさんに言うと、そいつと金髪のお兄さんが叫ぶ。 私はその声の大きさに耳を押さえながら、さっさと来た道を振り返る。 「じゃぁ、スモーカーさん。私、用が済んだので先に船に乗ってます。」 振り返った瞬間、視線があったスモーカーさんにそう言って歩き出すと、金髪のお兄さんがいきなり私に声をかける。 「アンタはおれたちを捕まえる手伝いをしないのか?」 「・・・え、して欲しいんですか?」 いや、そう言う訳じゃねぇんだが・・・と言葉を濁し始めるお兄さんに私は呟いた。 「しないですよ。それに乗じて捕まえられたら困りますから。・・・まぁ、スモーカーさんはそんな人じゃないと思いますが。」 ちらりとその人の方を見ると、眉間にちょっと皺を寄せながらこちらを見ていた。それを苦笑いでやり過ごした後、内容を把握できていないお兄さん達に、ゆっくりと笑いかけてこう言った。 こっそりと教えてあげる 「だって私、これでも犯罪者ですから。」 そう言って後、驚いた顔をしているお兄さん達を横目に、私は背中を向けて歩き始めた。 back |