寡黙な詐欺師 | ナノ


煙が煙を吸わない理由


「すもーかーさん。」
「なんだシルフィン、寝ちまったんじゃねぇのか。」

書類から視線を外してこちらを見るスモーカーさん。私はその姿をじっと見る。

「?どうしたシルフィン。」
「禁煙ですか?」
「あ?」 
「葉巻。吸ってるの余り見たこと無いなぁ、と思って。」
「・・・・・・。」
「あれ、気のせいでした?」
「シルフィン。「あ、はい。」・・・吸いたくねぇ気分ってのがあるんだ。」

そう言うときに丁度お前が来るんだ。と言われ、私ははぁそうですか。と頷いた。

「でも、良いと思いますよ。煙草って百害あって一利無しって、私の所では言いますし。」
「それは何だ。シルフィン、テメェは俺の能力に何か文句あんのか?」
「そ、そんなこと言ってませんよ!ただ、煙人間なスモーカーさんはどうか知りませんけど、そんなに吸ってたら、身体に毒じゃないのかなぁ、と思っただけです!!」

焦って言うと、毎年健康診断受けているが、おれは健康そのものだ。と言われ、私はすいませんとしか言えなかった。

「だが他の奴は違うし・・・主流煙より副流煙の方が害があるって言うしな。おれは確かに毒を吐いてるんだろうな。」


自分が吐く毒なら


「おれが吸わなければ、大事な奴はその毒を吸わなくて済む。シルフィン・・・そう言う理由でそいつの前では吸ってねぇんだ。駄目か?」     
「いや、すばらしいとおもうです。」
「・・・シルフィン、寝みぃんだろ。さっさと寝やがれ。」

私に上着を投げつけて、彼はまた書類に目を通し始めた。


(ったく、何でコイツに言ったのか・・・おれは馬鹿か。)
(すもーかーさんは、かばじゃないですよー。)
(テメェはさっさと静かに寝ろ!!)


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