寡黙な詐欺師 | ナノ


薔薇は赤い


彼女の手に持つ赤い物に気が付いた。

「シルフィン何だいそれ。」
「あぁ、これですか?ビスタさんから貰ったんです。」

いい人ですよねー、とのんきに言うそいつに少し頭が痛くなった。


「薔薇って赤いですよねー。」
「・・・そうだねぃ、だからどうした。」
「うちの所のお頭も“赤い”なぁ・・・と思って。」

まぁ、確かに赤髪だしな。(逆に赤くなかったら何なんだとも思うが・・・。)
「海は・・・青いですよねー。」
「そこはおれじゃねぇのかよい。」
「んー、マルコさんのは青と言うより、水色じゃないですか?」
「シルフィンの感覚で決めてんのかよい。」
「・・・じゃぁ、マルコさんの感覚で、桃色だったら何を思い浮かべますか?」
「ドフラミン「却下。」・・・おれの感覚で良いって言ったばっかじゃだろい。」
「あの人、睨んでくるから嫌いです。」

そんなのはしらねぇ!!!と言いたいところだったが、それを何とか飲み込みシルフィンの言葉を待つ。

「私は桜とか、桃とか、ういろうとか・・・。美味しいですよね。」
「待て、最後の方は食いもんになってるだろ。」

そう突っ込むと、私の感覚だから良いんですー、と言われる。

「まぁ、何というか、落ち着く色?優しい色じゃないですか。桃色って。」

そう言うシルフィンの言葉に何となく共感しながら、何でこんな話になっているのか不思議に思う。

「で結局、何が言いたいんだよい。」
「マルコさんは優しいと聞いたら、何を思い浮かべますか?」
「・・・・・・ピンク?」

さっき言っていた話を思い出しながら、シルフィンにそう言った。すると、そいつはさも楽しげに口を開いた。

「その答えは違います。」

じゃぁなんだいと聞けば、彼女は笑って聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量でこう言った。

「やさしいのは、貴方です。」


君は優しい 


「シルフィン・・・それもお前の感覚かい?」     
「あ。はい、そうですけど?」
「おれはそこまで良い人間じゃねぇよい。」

そうシルフィンに言い放った後、無防備な口に自分のを重ねた。 だってほら、優しかったらこんな事もお前にしないだろ?


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