紺青の海に溺れる 「好きだぜ、シルフィン。」 そう言って近づくと、それ以上の距離離れて。 「私は嫌いです。 「つれねぇよなぁ・・・お!それがツンデレって奴か!!」 「・・・頭の中までピンク色で・・・本当に大変ですね。」 「フッフッフ・・・誉められても困るけどなぁ・・・。」 そうちょっと言って見るも、と嬉しそうにこちらを見る。それに眉間が寄るのを感じながら、また一歩下がろうとしたが、自分の身体は一歩進んだらしかった。 「!?・・・卑怯者!」 そう叫ぶと、ピンクの男は笑みを濃くして近づいてくる。いや、自分が近づいていた。 「海賊ってよぉ、みーんな卑怯な奴らだと思うけどなぁ?」 自分がドフラミンゴの目の前に来ると、そいつは私を軽く肩に乗せて、こちらをニヤニヤと見てくる。サングラスに、海軍服を着た自分が映る。私が海軍所属だと思っているから、こんな行動に移しているのだと思う。遊ばれている。その一言しか思いつかなくて、私は溜息を付いた。 「別に、海賊じゃなくても、卑怯な奴って居ると思いますよ。」 「それはどういうことだ?」 「そのまんまの意味です・・・うわ、近い近い。離れろ!」 ドフラミンゴにとってシルフィンの言う事は分からないことばかりだ。同時に退屈しない、良い玩具であるとも思う。グイグイ顔を押し返すシルフィンの手をもう片方の手で掴み、さっきよりも顔を近づけてやる。 黒い、けれども少し青いような瞳に映るおれに満足しながら、呟いた。 「黒か?」 「え!?・・・いや、私は一応赤で通ってるみたいですけど。」 しどろもどろにそう答えるそいつに、「違ぇ。」と言ってもっと近づいてやる。 「目だ。」 「だから近いって・・・め?・・・・あぁ、目か。黒じゃなくて紺青です。一応青の部類に入ると思いますよ。」 そして、離せ。とシルフィンが言ったのも聞かずに俺はシルフィンに話し始める。 「フッフッフ・・・海の底みたいな色だな。」 「そうですね。もうその話をコロコロ変える頭から全て、海に沈んでしまえば良いと思いますよ。」 「そうだな・・・考えとくさ。」 ニヤニヤと笑うもう一人の自分を見ながら、そう言ってのけた。この紺青の海なら、否、もう既に。 今生の海に溺れる 「・・・・・・もう時間なんで、行って良いですか?」 「嫌だね。おれがそんな簡単に手を離すと思ってんのか?」 「あ、そうですか。」 制服を見るに、階級は下っ端の方だろう。そんな奴にここから出られるはずはない。 そう思っていたら、いつの間にかおれの手から抜け出して、スタスタと歩いてしまっている。 「シルフィン・・・テメェ、今どうやって出た?」 「さぁ?・・・ただ一つだけ言えるのは、私も卑怯って事です。」 してやったりと言わんばかりの顔をして、そいつは扉から出ていった。 「フッフッフッフッフ、そう言う奴は嫌いじゃねぇ。」 back |