寡黙な詐欺師 | ナノ


チューリップの恋模様


「・・・・・・。」
「えーっと、あのユースタ「あぁ?」・・・すいません。」

船に来いよと誘われて、チューリッ・・・いえ、ユースタスさんの船に遊びに来たわけですが。 不機嫌そうに酒を煽る彼をゆっくりと見ながら、小さくため息をつく。あぁ神様。私が何をしたって言うんです?

柄悪いですよ、ユースタスさん。周り気づいてないですけど怖いですよ、ユースタスさん。さっきまで、楽しくみんなと飲んでいたのがいけなかったんですか?

(何、アレですか、調子乗りすぎたんですか?)

「シルフィン、どうかしたのか?」
「あぁぁあ、神様仏様キラー様!!貴方から後光が見えます!」

と、ユースタスさんに聞こえないぐらいの声で言った。ちょっと居心地が悪かった私にとって、キラーさんはすごく助かった。(精神的に。)キラーさんが不思議そうに首を傾げているから、私はユースタスさんに聞こえないように聞いた。

「あの、私ユースタスさんに何かしましたっけ?」
「?どういうことだ。」
「いやぁ、何か私が帰ってきたら、この調子でして・・・。」     

そう言って、彼の方をちらりと見ると、不機嫌そうに私の方を見ていた。

「あわわわわ・・・あ、あんな感じなんですよー!!」
「・・・なるほどな。」

キラーさんがそう言って頷いた後、私に耳を貸せと言うように指で指示をしてきた。

「え、私。此処でも充分音聞こえますよ?」
「良いから。」

そう言って、ぐいと彼が顔を近づけて私にアドバイスをくれた。アドバイスを貰ってキッドさんの方を向くと、さっきの2割り増しの形相でこちらを見ていた。その様子に私は少し(どころじゃないけど)声を掛けづらいと思ったが、キラーさんの言葉を信じながら口を開いた。

「あの、キッドさん。」
「!!・・・んだよ。」
『まず、名前で呼んでやると良い。』
「えーっと・・・も、もしよろしければ、お隣よろしいですか?」
「おい、シルフィン。」
「あー。まぁ、横、失礼しますね。」
『そして、横に座ってやれ。』

キラーさんの言うとおりに、私は横に座って、またお酒を飲み始めた。困った。もの凄く困った。横にいるから、顔を見なくても済む(言い方悪いけど)でも。さっきからユースた・・・いえ、キッドさんの視線が痛いんですけど。(これ、絶対怒ってるだろう・・・)あぁ、本当に神様。私が何をしたって言うんですか。(まぁ、色々してますけど。)だけど、もう一度キラーさんは使えない気がするので、私のやや酔っぱらった頭をフルに使って、どうしたらいいか考えてみる。そうしていると、ふと。一瞬何かが過ぎった。

「・・・もうコレしかない。」

色々考えた結果、今の現状を打破できる方法は1つしかない。そう思い、おそるおそるキッドさんの顔を見る。(凄く目が合っているが、気にしない方向で。)

「シルフィン、どうかしたのかテメェは。」
「えっと、キッドさんは人ですよね。悪魔の実食べてますけど。」
「それがどうかしたか?」

キッドさんの言葉を聞いて、私は心の中でガッツポーズをする。そして、姿勢を正しながら口を開いた。

「失礼します、キッドさん。・・・・・・たぁ。」

そう言った後、私は自分の手をキッドさんの頬に当てた。

「で、なんだこの手。」
「あー・・・いえ。私ハーフですけど、イルカさんの魚人なんで・・・その、イルカさんって触るとリラックスするって言うじゃないですか。」 

怒っていそうだったんで落ち着いて貰おうかなぁ、なーんて。どんどん声が小さくなりながら答える。

「おれは、怒ってはなかったんだがな、シルフィン。」
「え、あーわー・・・ご、ごめんなさい。」

少し凹みながらそう謝ると、頭の上で楽しそうな声をしたキッドさんは言った。

「まぁ、いいんだけどよ。」 

彼はそう言った後、ホッとしている私の腕を引き上げて、彼は私を膝の上に置いたらしかった。

「・・・・・え、なんですかコレ。」
「手だけじゃぁ、おれはリラックス出来ねぇからな。」

気づいた頃には、私はキッドさんの膝の上で。 頭の上にビールのジョッキがあるせいか、冷たいし偶に当たって地味に痛い。でもまぁ。

「キッドさんが、嬉しそうだから良いか。」


誰にも聞こえない声で、そう呟いた。

(テメェ等、おれのイルカにさわんじゃねぇぞ!)
(あのー私キッドさんのじゃないんですが・・・あ・・・すいません。)

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