花言葉を込めて | ナノ


決意


さっき走らなければ良かった。そう後悔しても遅くて。腕力が半端じゃない絵画の女性に現在進行形、追われてます。 青いドロドロと赤いドロドロは動かなかったので、ホッとしたのも束の間、近くの扉も開かない。 ふざけんな!と言いながら、私はイヴと一緒に走り続けている。

「っシルフィン!」
「何!?」

狭い部屋を何回かぐるぐると走り回っている時、イヴが「鍵があった!」と言った。何処にあった!?と聞けば、彼女はとぎれとぎれに答えた。


「あー・・・助かった。」
横で息を整えているイヴを撫でながら、私はそう呟く。鍵を手に入れた後、急いで鍵を開けて見つけた扉の中へ転がり込んだ。(でも追いつかれそうになって、正直焦った。)どうやらあの女性は扉を開けることが出来ないらしく、この本棚の所には入って来れないみたいだ。

「でもさっきから・・・どんどん叩く音がするよ。」
「うん、ちょっと聞こえないフリしようか。」

音以外なら此処はめちゃくちゃ安全な場所だと思う。(何も出てこなければ) でも前へ進むしかないので、私達はゆっくり叩かれていない方のドアを開ける。



「シルフィン・・・開かないよ?」

ここはどれだけ鍵をかければ気が済むんだ!! 挟まっていた紙を見ながら、「楽しくねぇわ!!」と叫んでいるシルフィンをチラチラ見ながら、私も周りを探す。

「・・・あれ、シルフィン。」

ぱらぱらと気になる本を捲っていると、気になる文章を見つけた。なので、ごめんなさいと言ってからシルフィンを呼んできて、文章を読んで貰う。

「えーっと・・・『ここの女は人の物を欲しがる目を付けられると大変危険である。何せ彼女たちは自分が満足するまで執拗に追いかけてくるからである。』」

何処までも、どこまでも、ドコマデモ・・・と言われたことに、少し怖くなったけど、私は続きを頼んだ。

「え、続き?続きは・・・『弱点があるとすれば、彼女たちは自分で扉を開けることが出来ない事だ。』で終わってるね。」
「扉が開くヒント・・・・。」
「無いね・・・・・。」

そう言ってぺたりと座ったシルフィンが、いきなりばっとこちらを見てくる。

「そうだ、イヴ。気分転換しよう!!」
「きぶん、てんかん?」

そう聞くと、「さっき絵本見つけたんだよね!」とニコニコ笑いながら、手に持っていた絵本を私に見せる。 題名を見ると、『うっかりさんとガレッド・デ・ロワ』と書いてある。

「童話とかこういう本、結構好きなんだよねー・・・あ、ゴメン、子供っぽかったかな。」

少し向こうの方を見ながら、ほっぺを掻いているシルフィンに首を横に振る。

「シルフィン、そんなこと無いよ。一緒に見よう!」

そう言うと少し困った顔をしながら、シルフィンは笑った。私が迷惑をシルフィンにかけてばっかりだから、私はもっと強くならなきゃって思うの。

「ゴメンね、ありがと。」

そう言って笑うシルフィンを見ながら、そう思った。


小さく咲いたゼラニウム


「・・・うん・・・何か、本当にごめん。」
「・・・・・・ううん。」

絵本だと思って侮ってた。これは絵本じゃない。(『わたしってばうっかりさん☆』ですまないだろ・・・。)しかもこれ見た後扉が開いた音がするし、いつの間にか絵本が見あたらないし。此処では常識なんて無いに等しいな・・・と軽く頭が痛くなるのを感じながら、私たちは次の扉に進み出した。

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