花言葉を込めて | ナノ


心配です


「うわぁ!!」
「え!?な・・・なによ・・・!!うぎゃぁぁああ!!」
「あ・・・あ・・・。」

一瞬それは、ギャリーの肩に乗っていた。 尻餅をついているギャリーを立たせてあげれば、「なっなによ、コレ!このっ!」と言って足を振り上げた。 間違いなく蹴る気だ。そう思ったら、自然と体が動いた。


「駄目だよギャリー!!」
「っ・・・シルフィン、イヴ・・・。」

イヴはギャリーを止めて、私はマネキンを守る。・・・なかなかナイスなコンビネーションだと思う。 ただちょとマネキンが怖いだけで。マネキンの顔を見ることは出来ないけれど、取りあえず守れたので良かった…と思う。・・・でも・・・守るときに手が触れたけど…その点は大丈夫なんだろうか?(手袋してたし…いいのかな?) どこかの部屋で見た展示物云々の張り紙を見たことを思い出しながら、ふと考えてみる。

「・・・分かったわよ、アタシが大人げなかった。ごめんなさいね。」
「うん、頼むよ・・・ここ、本当に何が起こるか分かったもんじゃないんだし・・・。」

ね、イヴ?と言えば、控えめに返事を返してくれるイヴの声がした。

「っとよし・・・マネキン君も無事みたいだし・・・!?・・・・・・うん行こうか。」

一応警備員(仮)なので、マネキン君に異常がないか指をさして確認した後、ここから出ることに決めた。

「・・・ねぇ、シルフィン。何かあったの?」
「・・・・・・いや・・・何でもない・・・よ?」

そうしどろもどろに言いながら、私達は扉の外へ出る。

「どうせシルフィンの事だから、あのマネキンが怖かったんじゃないの?」
「仰るとおりですねー。流石ギャリー様。」

そう冗談めかして言えば、呆れた顔でこちらを見てくるギャリー。それに苦笑いしながら、私は鏡の間(仮)の扉のノブを掴む。・・・さっきから気にはなってたんだ。あのマネキン・・・庇った後ぐらいから、妙に赤く頬を染めているように見えるんだ。ギャリーたちは気がついていないみたいだから、何も言わないけれど。

「・・・。」

閉める直前、目があったように思えて、思わず私はマネキンに軽くお辞儀をしてからドアを閉めた。やっぱり気のせいじゃない。顔が乙女のように頬染めてたんだけど。何あれ、本当に怖いんですけど。

 * * *

「また・・・コレだよ・・・。」
イケメンは辛いね。と軽い冗談のみたいに言っているシルフィン。
イヴが自分の目でも見てみると、シルフィンの言う「ギャリーの追っかけさん」達の数が増えている気がする。

「ねぇ、シルフィン。」
「ん?何、イヴ?」

いっぱい走っているせいか、顔を赤くしているシルフィンがそう言って返事をしてくれる。
「追っかけさんの、数・・・増え、てる気がする・・・。」

「うえ。・・・ホントか・・・ギャリーさんの、イケメンさに惚れて、出て、来ちゃったんだ…。」

憎いねーこのー。と息を切らせながらそうギャリーに言っている。

「そんなこと、言われたって…嬉しくないわよ!!」

そう言う言い合いが、少し可笑しくて私はちょっと笑ってしまう。そして、気がついたの。

「シルフィン・・・。」
「ん、何?イヴ。」
「・・・・・・ううん、なんでも、ない。」
「イヴ、辛かったら…言うんだよ?」
「そうよ。アンタは、そう言うこと・・・そんなに、言わ、ないから・・・!」

そう言って心配してくれる2人。・・・もしかして、私にあわせてくれているから、こんな事になっているのかな、って。本当だったら、2人はもっと早く走れて、早くこんな所から抜け出せているんじゃないか、って。考え出したら、そんな考えがもやもや出てきて。

「・・・・・・。」

ねぇシルフィン、ギャリー。私迷惑かけてない? そう言おうとしたけど、やっぱり止めてしまう。心配そうな顔をして「大丈夫?」と聞いてくる2人は、「迷惑だ。」なんて言わないだろうけど。 けど・・・もしかしたら・・・。もし、そう言われてしまったら、私はどうすれば良いんだろう。早くお父さんとお母さんに会いたい。今はそれだけを考えようと必死だった。


クロッカスの憂鬱 


「ギャリー・・・君の追っかけが、やって来るのを待ちかまえているよ。」

待ちかまえているというか、鍵という餌の後ろでうろうろしている。なんというゴキホ・・・いや、間違えました。
「でもアレがないと・・・進めないわよね、きっと。」
「うん、だろうね!!」

誰かまごの手持ってないかな・・・と聞いたら、そんなの持ってる訳無いでしょ。と言われる。ですよねー・・・。


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