付いていきます 前言撤回。ちょっと不安です。 さっきまで大人しかったベロベロさん(絵画)が唾を投げてきた瞬間。 『え、うわ『ぎゃー!!』・・・。』 ・・・その後、何事もなかったように繕うけれど。 「ねぇ、シルフィン。・・・怖がりなのかな?」 「うーん・・・私には何とも言えないかな。」 そう返事をするけど、きっとイヴの予想は当たっていると思う。そんな感じでこそこそ話していると、「ちょっと、さっさと進むわよ!」と先頭を歩いていたお兄さんがそう言う。別にお兄さんが怖がりさんでも別に構わないけど。 「そんな人が先陣を切っても大丈夫なのかな・・・?」 そう呟きながら、その人の後ろを付いていった。 「あ、そう言えば私。名前、知らないです。」 「あぁ・・・名前言ってなかったかしら?アタシはギャリーって言うの。」 ギャリーさん・・・と小さく呟いてから、自分の名前を声に出す。 「そう・・・シルフィンって言うのね。今更だけど、宜しくね。」 あ、そうそう。『さん』なんて付けなくて良いから。と初めに釘を差されてしまう。 「りょーかいです。」 と呟いて、向こう側の扉を開けて進むと、扉の前にマネキンが。私はそれをじっと見て、小さく口を動かす。 「・・・ゲルテナって、服職人でしたっけ?」 もしくはデザイナー。と言えば、ギャリーが「ちゃんと芸術家してたわよ。」と言い、もう一度目の前を確認する。 「・・・どう見てもマネキン・・・。」 「シルフィン違うの。あれは無個性さんたちの一人だよ。美術館にいたよ?」 まぁ、言われてみればいた気もするが。 「あれ、美術品だったんだ・・・。」 マネキンだと思って、スルーしてたよ。ごめんマネ・・・違う。無個性さん。イヴが少し脅えているのが気になりながら、その一方で心の中でそう謝った。 結局、マネキン・・・違う、無個性さんを退かして、奥に進むことに。(流石男の人。力が強い。)すぐに見えたのは、悲しそうな花嫁さんと花婿さんの絵。 「はー・・・なんか悲しそうだねぇ・・・。」 ちょっとビクビクしながら近づいていくと(良かった、動かない。)題名・・・『嘆きの花嫁』。 確かに嘆いているけどさ・・・とか思いながら、スタスタと進んでいくことにした。 「ちょっと・・・!シルフィン、アンタ、待ちなさいよ!」 「・・・・・・あれ?なんで止まってるの?」 「何でって・・・・・・まぁ、いいわ。」 もう少し周り見たほうがいいわよ。と助言され、ギャリーがまた先頭を歩き始めた。 突き当たりに居た変な青いのを避けてから、取りあえず一番近くの扉に入ってみようと思い、ギャリーはドアノブをゆっくり回して扉を開いて・・・すぐに閉めた。 「あのーギャリーさーん?どうしたんですかー?」 「・・・アンタの言うマネキンが沢山うろうろしてたのよ。」 「・・・・・・。」 「うげぇ・・・。」 その言葉を聞いて、みんな入りたくなくないようで、顔が引きつっている。(誰だって進んで行きたくないわよね。) 「・・・でも、そこに何か出る手がかりがあるなら・・・。」 「うん、イヴの言うとおりだよね・・・では、ギャリー隊長!」 「な、何よ。」 「我々隊員は隊長に付いていきますので、先陣を切ってほしいのであります!!」 高らかに右手を挙げて敬礼をするシルフィン。警備員服だからか、ギャリーには余計にそう見えて仕方がない。 「・・・わかった・・・わかったわよ!行けば良いんでしょ!」 半ば投げやりになりながら、ギャリーは扉を開けて勢いよく足を踏み出した。 投げつけたジャスミン もう、信じられないわよ。迷路は好きか聞かれるし(あんなのお断りよ!)、出口のヒントは何もないし。 目は充血してるし(アタシじゃないわよ。)、仕掛け扉があるし。 「ここを出たとき、アタシ達結構動じない精神が身に付く気がするのよねぇ・・・。」 「・・・出来ればそんな精神身につけたくなかったなぁ。」 呟いた事に律儀に返事をしてくれるシルフィンをちらりと見て、「まぁ、そうよね。」と小さく頷いた。 back |