花言葉を込めて | ナノ


否定的な推測


部屋を出ると、目の前に花瓶が。チラリとイヴの胸ポケットに入っている赤い薔薇を見る。

「若干萎れてるね・・・。ちょっと貸して?」

そう言って、ひょいっと取って茎の部分を軽く斜めに切る。そして水につけると、案の定、一気に元気になる。

「うーん・・・相変わらずここの花は再生力が半端じゃない・・・ってあれ?」

水が減ってない。ここの花瓶は一回しか使えないと思っていたのに、案外普通の花瓶もあるらしい。

「・・・何か・・・まともな物が珍しく思えてしまう自分が嫌だ・・・。」

そう呟きながら、イヴにどっちに行こうかと聞くと「じゃぁ・・・左?」と言ったので、左側の扉を開けた。


「これは・・・!!さっ・・・。」

殺人事件だ。と小さく言えば、左手を掴んでいた彼女が首を傾げる。(可愛いな)『青い服の女』という名札しか付いていない壁に、床には青い花弁と少量の血痕。これは事件の予感がする。サスペンス、もとい刑事ドラマが好きな私は、不謹慎にもちょっとワクワクしてしまう。遺体は・・・きっとこの部屋の中だ。そう思ってノブを捻ると、予想通り鍵がかかっている。

「遺体はきっとこの部屋の中にある・・・はず。」

本当にあったら私はきっと卒倒する。絶対する。開かない扉に感謝しながら、私は音を立てて廊下を歩き始めた。

「この事件を解決する手がかりは・・・無くなった絵画と、ここの花瓶。」

そう言って、空っぽの花瓶を軽く持ち上げる。

「犯人は絵画に自分だと分かってしまう証拠を残してしまった。だから持ち去った。」
「シルフィン、じゃぁ花瓶は何で手がかりなの?」

そう聞かれ、私は事件の推察をイヴにもう少し話し始めた。

「廊下に落ちていた青い花弁。多分この花瓶に入っていたものだと思う。」

犯人と被害者はこの青い花が原因で、事件が起こった。

「犯人は被害者に花を取られそうになった。そこで争いになり・・・向こうの部屋で殺害し、誰も来ないように扉に鍵をかけた。」
「そっか・・・じゃぁ、向こうに誰か人が居るんだよね?」
「うーん、そうなるけど。」

正直、開けたくないなんて、この子に言えるわけがない。

「でも、なんで花のために争ったんだろう・・・?」

そう呟いて、頭を捻る。確かに青い花は珍しいが、そんな取り合いになるほどでもないはずだ。

「それはきっと・・・あれが理由だと思う。」
「あれ?」

そう言って、イヴが指を指した方を見る。見えたのは2枚の紙。えっと何々?『そのバラ朽ちるとき、あなたも朽ち果てる。』と『あなたとバラは一心同体。命の重さ、知るがいい。』

「また物騒な張り紙だなぁ・・・。」
「え?私が初めていた所にもあったし、シルフィンと初めて会った所にも張ってあったよ?」
「・・・まじで?」

と、取りあえず反対側の部屋に行ってみようか。と、イヴに提案をして、取りあえずこの部屋をでる事に。 べ、別に張り紙・・・知ってましたよ!はい、気付いて無かったなんて事は・・・。 そう自分中で弁解していて少し凹みながら、反対側の部屋へと移った。 まさかそこで、予想もしていなかった人物がいるなんて知らなかった。


現場に揺れる金魚草


「犯人が・・・倒れてる!?」

まさか、そんな。そう思っても、目の前には苦しそうに倒れている、そして犯人と思われる人。

「シルフィン、鍵が・・・。」

そう言って見てみると、男の人の手には小さな鍵が。若干血で汚れているそれは、鈍く私たちを映していた。



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