*風邪はヤって治せ



 最悪だ。この俺が風邪を引くだなんて。

「……くっそ」

 今日は休むしかないな。後で仕事場に電話をしなければ。

 それにしても頭が痛い。そしてそれ以上に鼻が酷い。鼻をかみすぎて耳に違和感を感じるし。本当に最悪だ。

「兄貴ぃ、どしたの?」

 ドアの外から弟の声が聞こえてきた。時計を見ればもう7時を過ぎていた。きっといつも早くに起きる俺が、部屋をなかなか出ないので心配したのだろう。

「あー、何か風邪引いた」

 鼻声。みっともないな、何て考える。

「え、嘘…まじ?」

 ガチャッ、とドアを開く音。何で入ってくるんだ。

「入って来んじゃねえ。うつすぞ」

 そう言うが無視される。ベッドがギシリ、と軋み、弟がベッドに腰掛けたのが分かった。馬鹿かこいつは。

「うっわ、辛そ」

 辛いさ。風邪なんて久し振りだし、はっきり言ってどう対処すれば良いのか分からない。

「まじでうつるぞ……」

 自分の声が脳内で反響して気持ち悪い。頭が変に重いし、もしかしたら熱もあるのかもしれない。

 そんな事を考えていたら、額に冷たく、気持ちの良い感触。

「熱あるじゃん」

 弟の手だ。冷たい掌が気持ち良い。思わず擦り寄る。ああ、俺らしくないな。きっと熱に浮かされた脳内がおかしくなっていて、こんな行動をしてしまうんだ。俺が好んでこんな事するはずない。熱の、せいだ。

「てめえ、俺の話聞いてっかぁ?」

 声を出すたびに喉がヒリヒリする。喉の痛さが気持ち悪くて吐き気を覚えたが、耐える。

「ははっ、うつせばぁ?」

 そう笑い、弟が顔を近づけてきた。唇同士が合わさり、キスをされる。何度も、角度を変えながら。本当に馬鹿だな。そんなに風邪を引きたいのか。

「汗かいたら治るかもよ。だから、ね?」

 ああ、違うな。こいつは俺が風邪を引いていたとしてもヤりたいんだ。昨日は結構な時間ヤったはずなのに。現役高校生は体力がありすぎて困りものだな。

「ナニしたいんだよ?」

 思わず溜め息が出る。いつかナニもかも搾り取られるのではないか、何て馬鹿げた事を考えてしまう。

「……す、素股…したい。今日は前から…良い?」

 どうやら弟は吹っ切れたらしく、このように素股をしよう、と自ら提案してくるようになった。

「前から?」

「…うん」

 いつもはバックから一方的にヤっていた素股。いや、普通にセックスをする時も大抵はバックからだな。

何故バックからなのか。答えは簡単なものだ。焦らしやすいから。

「まあ、良いぜ。てか、俺動くのキツいからさぁ」

 故意に間を置く。

「……俺の勃起させてよぉ、自分で動いて素股ヤれ。出来るだろ?それくらい、さ」

 ぶっちゃけると起き上がるのも億劫なのだ。

「出来るに決まってんじゃん」

 ズボンと下着を脱がされる。少し寒い。だが、そんなものはすぐに吹っ飛んだ。

「兄貴ぃ…ふっ…んぅ」

 弟の口腔に誘われた分身。エロ顔晒してむしゃぶりつく弟はやはりビッチだ。

「はっ、えっろ。…ん……大分、上手くなったよなあ」

 まあ、俺が教えたんだ。上手くもなるだろう。

「ん…おいひぃ……はふっ…んうぅ」

 恍惚とした瞳。理解出来ないが、美味しいらしい。はっきり言って、俺は野郎の逸物なんかしゃぶりたくないな。でも、こいつは違うらしい。

 口から分身を解放し、のし掛かってくる弟。まるで騎乗位。いつもバックからで、騎乗位なんてヤった事なかった。

 弟の股に分身が挟まれる。回数を重ね学習したらしく、挟む力加減がとても俺好みだ。

 何故だろう。いつの間にか頭の重みが消えていた。鼻は相変わらず詰まっていて気持ちが悪いが、身体の具合も先程よりは全然ましだ。

 さあ、今日はどう追い詰め、焦らし、啼かせようか。

 脚の間に俺の逸物を挟み込んで腰を振る弟。いつもと違い分身同士が擦れ合うからだろうか。口元はだらしなく開きっぱなしで、唾液が漏れている。頬は真っ赤で、瞳は快感に魅せられ濡れている。

 たまには焦らさずに、甘く抱いてやっても良いかな、何て。弟の嬌声を聴きながら考えた。騎乗位も悪くないな。



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