親子
「性的な意味で愛している」
心音が止まってしまうのではと思う程の衝撃を受けた。
「ちょ、待て待て待て」
理解出来ない。父は、何と言った。
「待てない」
愛している、は百歩譲って良しとしよう。家族愛的な意味で。だがその前に君臨している単語がいけない。性的な意味とはどういう事だ。
「いや、待てよ、ちょ……え?」
混乱している間に父に押し倒される。気付けば鼻が触れそうな距離に父の顔があり、背が震えた。
「男手1つで育ててきたんだ。かなり苦労したんだぞ。……礼をすると思って、な?」
「感謝しています。無理です」
即答する。当たり前だ、実の父親だぞ。無理に決まっている。
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