こんにちは、変な人

「……これって魔王倒すのが目的じゃないのか?」
「それがねー、ちょっと間違っちゃってさぁ」

 ……え?

「やぁやぁ、こんにちはこんばんわ?」
「……こ、こんにちは?」

 携帯の向こう側、というかほぼ目の前に見慣れない、というか奇抜な服を来た少しチャラそうなイケメンが立っていた。
 挨拶をされて思わず返してしまったけど、なんだこの状態。

「うんうん、挨拶は重要だよね。ちなみにその微妙にひっくいテンションも好印象だよ、少年!なんたってさっきまで、それはもう馬鹿でかい声で叫ぶ勇者もどきといたからねぇ。もう爆発すればいいのにねっ!」
「……はぁ」

 勝手に喋りまくるイケメンさんに相槌を打ちながら、窓とドアに視線をやる。窓には鍵がかかっている。同じくドアにも。コイツが入ってきた時に鍵をかけていなければ、ここは密室のはずだった。
 どうやって入ったんだ?

「ふふーん!どうやって入ったか?簡単だよ、俺が俺だからだよー」
「な……口に出してた?」
「ううーん、少年は心で思っただけだよ」
「……へー」

 この人は変人で決まりだ。決定。どうしよ、変な人に捕まっちゃったよ。むしろホントにどうやって入ってきたし。母さんと姉さんは出かけてる。親父は……、うん、たしか朝はいなかった気がしなくもない。
 考えてみれば、今日この家にいるのは僕だけのはずだ。イコール、玄関からは入ってこれない。窓も同様だ。出かける間際に母さんが閉めていた。戸締りに関してはうるさいから、絶対に締め切っている。
 と、いうことは?

「泥棒か!!」
「おしい!いや、おしくない、違いますぅ。俺は泥棒でも幽霊でもありませーん!」

 なんだこのの人、無駄にノリがいいな。っていうか現実感なさすぎだろ。

「……じゃあ、夢で」
「考えるの放棄したでしょ」

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