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side:レイ
見上げる少年の視線が心細そうに見えるのは、気のせいかもしれないけどちょっと嬉しい。触りごこちが良さそうな髪に触れてわしゃわしゃと撫でる。
嫌そうに眉を寄せられたけど、気にしない。
「俺はー、とりあえず城に戻るんだぁ」
「はぁ?こんなもん作らせておいて、帰るだけか?」
「まぁね。少年とこの後、別れての行動だからさぁ。連絡手段が欲しかったんだぁ」
「なるほどなぁ」
ジジはにやりと笑った後、ふいに少年へと視線を向けた。それに気付いた少年は訝しそうに、少しだけ警戒するように俺の方に身を寄せてくる。
胸がざわめくような、痛いような曖昧なそれを隠して、安心させるように頭を撫でた。
「ジジ、少年をそんなに見つめてどぉすんの?穴があくでしょー?」
「いんやぁ?そこの坊主を一人でどっかに行かせんのが心配みてぇだからなぁ。……本当にどんな関係なんだ?」
何に気付いたのか、ジジは楽しげにして少年を見る、というか見つめてる。あんま深くは切り込んで欲しくないなぁ。
「俺と少年の秘密ーってとこかなぁ」
笑みを向けるとジジは肩を竦めて少年を見るのをやめる。反対に、こっちの方を見て声に出さずに口を動かした。
わかってる。頷くとジジは安心したように椅子にもたれかかった。
「……おい、結局なんなんだ?」
「ん、少年は気にしなくていいよー。心配性が発生しただけだからぁ」
「ふーん?」
納得はしていないようだけど、まぁ仕方ない。巻き込んでおいて何だけど、少年が痛そうな顔をするのは見たくないし。
「よし、んで?他に必要なもんはあるか?」
「んー…あ、荷物をまとめるの何かなぁい?服とか買いすぎちゃったんだよねぇ」
「……俺は止めたからな」
ジジがいい感じに話をそらしてくれた。それに乗ると少年が呆れたようにため息をつく。
あって損は無いから、良いと思ったけど案外重かった。俺でもそう思うのに、少年が持ったらきっとじと目で睨まれる気がする。
「そうだなぁ、あー…なら、コレやるよ」
ひょい、とジジが差し出したのは赤と青のチェック柄の小さめの布袋。黒い紐で口を縛られている。見た目は普通の布袋だけど、何か違うのだろうか?
「どうやって使うんだ?」
「ああ、紐を解く。この口部分を荷物に向ける。そうすると……」
ジジが少年に説明しながら、布袋の紐を解いて椅子の横に置いていた荷物に向けた。