今までの説明

 アルテルシオンに向かいながら、この世界の常識をレイに教わりながら頭の中に入れる。
 まず魔の国『アルテルシオン』を中心にして、西側に風の国『レチェッタ』。南に火の国『ヒューベスト』。東に水の国『アテ』がある。この四国は地繋がりで一つの大陸にある。
 昔々は北側にも国があったが、今は滅び、いくつかの集落があるだけ。今のところ、動きは特にないので東も南も気にしなくて大丈夫との事。
 ただ、もし西のレチェッタが動いた時には両国も気にしなくてはならない。アルテルシオンは大陸のちょうど中心にある為、三国に攻め入られたらいくら強かろうと、長期戦に持ち込まれれば滅んでしまう。

「ここまで大丈夫ー?」
「……まぁ、なんとか」
「じゃあ、続けるねぇ。元々は近隣国同士、仲はそんなに悪くなかったんだぁ。特にアルテルシオンとレチェッタは、先代までは王同士の仲が良くてー。よく遊びに行ったりしてたんだよねぇ。まぁ、だからこそ勇者をアルに紹介することになったんだけどぉ」
「……勇者を紹介したの。魔王に?」

 意味わからない。勇者=魔王の天敵、もしくは魔王=勇者の宿敵ではないのか。なんで二人を合わせたし。なんだここ、RPGより面倒なとこじゃないか。

「うーん。まぁ、この国の勇者ですよぉって合わせたの。そしたらさぁ、あの子一目惚れしちゃったらしくてぇ。毎日毎日毎日毎日、会いに行くようになっちゃったんだぁ」
「そんなに簡単に一国の主に会えるような国も、どうかと思うけど……」
「まぁ、友好国の勇者だから無下に扱えなかったんだろうねぇ。アルは律儀に会ってたみたい。勇者の行動が変な方向になるまでは」
「ああ……」

 なるほど。一目惚れしてわけわからん方向に、自分の欲が回ったんだな。でも勇者も、俺のことを盗み見してたレイには言われたくないんじゃ……。

「ふふー。アレと一緒にしないでくれるぅ?」
「ごめん」

 もの凄く嫌そうな顔されました。そんなに嫌だったんだ。ホント、ごめんなさい。
 俺が謝るとレイは仕方ない、と息をついた。

「まぁ、大体の流れはこんな感じかなぁ。何か質問はあるぅ?」
「今のとこは特に」

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