4

 かける言葉も思いつかない。哀れみの目を向けていると、こっち、と手招きされタオルケットを押さえながらついて歩く。

「結婚できないにしろ、既成事実さえ作っちゃえば恩恵に与れるとか思っちゃってるみたいでぇ。次から次へと……それに加えて今回ので、もう俺ボロボロー」

 声音はさっきまでとは変わりないけど、言外にもひしひしと辛さが伝わってくる。

「だから、俺の精神的な問題で戦争は起こしたくないんだぁ」
「……わかりやすくていいな」
「それに、戦争なんかになったら俺んとこ勝てないしぃ。っていうか、むしろ俺が勝たさないしねー」
「どういう意味?」
「……内緒だよぉ」

 唇に指を当てて秘密、と笑うとレイは進む先を指差した。

「ココを真っ直ぐ行くと、アルテルシオンだよぉ。でぇ、俺は城までは行けるけど、諸々の諸事情により中には入れないから」
「一人で行けと。俺は魔王様のへたれを克服計画をするわけだけど……いきなり俺みたいなのが行っても大丈夫?」
「うん。コレを黒髪の怖い顔したお兄さんに見したげて。『猫』からだって言えば、理解してくれるからぁ」

 レイは自分の首から下げていたネックレスを俺の手に握らせてきた。シルバーのネックレスには、緑の綺麗な石がついている。
 ぱちりと目を開くとレイは猫のように、にぃ、と笑った。

「それはね、『約束』。昔々の古い『契約』を現してるんだぁ」
「けいやく?」
「そう。それについては、きっと向こうで教えてくれるからぁ。先に必要な事だけ教えておくねぇ。……ちゃんと覚えるんだよ?」
「……あいさー」

 最後の一言だけ、人が変わったように聞こえたんですが気のせいですね。

[←前へ 戻る 次へ→]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -