物語の説明

 まさかの王子発言の後、へんた……レイは今の風の国である、『レチェッタ』と魔王の国である『アルテルシオン』の状況説明をしてくれた。
 長いので簡単にまとめると、特に何かあったわけでもないのに風の国の魔術師が勇者を呼んじゃって、何故か周りはお祭り気分で勇者を持ち上げちゃった。んで、勇者は勇者で討伐しにきたのに魔王を見て一目惚れ。毎日欠かさず城まで来てるらしい。そんな勇者に魔王側は辟易しちゃってもうどうしよう!

「こんな感じですか」
「そんな感じだねぇ」

 うんうんと頷くレイ。ちなみに未だ俺達は浮いたままで、抱きつかれたままだがもう突っ込まない。

「それで、問題点は二つ。勇者と……魔王なんだけどねー」
「うん」
「勇者は魔王の側近達が頑張って追い払ってるから、今はなんとかなってるけど……魔王自身がもうへばっちゃっててねぇ」
「へばる?」
「そう。元々、精神的に弱い奴でねぇ?もー、勇者が会いに行くようになってから、自分の部屋に引きこもっちゃってるんだよねー」
「……ええと」

 さっきから話を聞いてると、魔王様とやらは俺のイメージとは掛け離れた人?らしい。

「人畜無害そうな……」
「むしろ、勇者の方が人畜有害な感じー?」

 っていうか、あんたも俺的な王子様のイメージと全然違いますけどね。王子って爽やかとか熱血とかってイメージ。レイは見た目とか話し方、普通にチャラ男じゃん。
 今更ながら、マジマジと自称王子様なレイを見る。顔は確かに綺麗というか格好良いと思う。背も高いしな。服はまぁ、俺等の世界では奇抜だけど、この世界では普通なんだろう。

「俺、格好良いんだぁ?ありがとー」
「心の声を聞かないでください」
「はは、声に出てるもん」
「マジか。じゃないくて……それで?俺が連れてこられた意味が、いまいちわからないんですけど」

 そして、ずっと浮いてる意味もわからない。できれば話は地面に足をつけてからお願いしたかった。

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