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 どういうことだろう?俺はわからなかったけど、他の人たちには伝わったみたい。

「ど、どういうことですか!?た、確かに僕達は少し仕事をしなかったかもしれませんが……」
「少しだァ?テメェふざけんな。テメェ等四人分、全てだぞ。風邪だったコイツの分はまだしも、何でこの俺が猿に現つ抜かしてるバカ共の分まで処理しなきゃなんねぇんだ。使えねぇ奴や努力しねぇ奴は、生徒会にはいらねぇんだよ」

 ……どういうこと?
 俺が休んでた間、大量にある生徒会の仕事を全部、先輩がやってた……?

「会長、いくらなんでもそれはひどいんじゃなぁい?」
「「そうだよっ」」
「オレ達はただ」
「ともだちといただけじゃんか」

 副会長に会計、補佐二人がおかしなことを言ってる。だって、いくら『ともだち』が大切でも『責任』を『放棄』するのは、全然違う話じゃないの?
 それに、仕事を肩代わりしていた先輩を、微塵も非難できる立場にはいないはず。何故この人達は、不知火先輩をそんな目で見てるの?

「それに!書記だって彼のことを気に入ってくれますよ!」

 ねぇ!?なんて必死の表情で見られても。生徒会の人達なら、知ってること……少しいなかっただけで忘れてしまったのか。

「……おれの、ぜんぶはせんぱいの。きにいるもなにも……ない」
「だ、そうだ。コイツの一番は俺だ。俺以外がコイツの意識の中に入れるわけがない。気に入るなんてもっての他だ」

 俺達に関わるな。そう先輩は言って話は終わりとばかりに、俺の手を引く。それに逆らわずに足を動かした。
 後に残ったのは悔しそうに俺を睨むもさ髪と、どこか哀しげに俺達を見る生徒会の人達。
 なぜかその様子が別れに見えて、「ばいばい」と呟いて小さく手を振った。

 ――五日後。先輩と俺以外の生徒会役員のリコールがきまり、もさ髪は転校していった。
 それは俺の知らないうちに決まっていて、気付いた時には新しい役員が生徒会室の椅子に座って仕事をしていた。
 時折物珍しそうにこっちを見てくる奴もいたけど、しばらくすれば慣れるだろうし。
 特に感慨もなくそれを眺めて、頭を撫でてくれる先輩の膝に頭をのせた。


end

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