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「そんで、それ見て固まったまま動かなくなってな。半分は俺のせいだし、放置するわけにゃいかないから連れてきた」

 思い出しました。せっかく買ったお菓子たちの無残な姿に、僕は大ショックを受けたのでした。

「お手間をかけてすみませんでした……」
「いや、俺も悪かったからな。……一応、それは同じ店で買ったやつだ」
「え、え?あ、本当だ……あ、わざわざ買ってきて頂いたんですか!?」

 すみません、ごめんなさいと頭を下げるとぽん、と頭を撫でられました。優しい仕草に思わずイケメン不良さんを見上げます。

「いや、言っただろう?俺のせいでもあるって。だから気にしないで食え」

 な?と優しく笑ったその表情はさっきまでの怖い雰囲気はなく、本当に穏やかで怖いと思ってしまったことが恥ずかしいです。

「……えと、ありがとうございます」
「ん」

 子供にするように撫でる不良さんに、少し照れながらお礼を言いました。
 そして促されるままお菓子に手を伸ばして、今度は遠慮なく口に入れました。噛んだ瞬間に口に広がった美味しさに、幸せな気分です。

 お菓子は美味しいし、迷惑をかけてしまったのに不良さんは優しいし、今日は本当に良い日です。

 僕は頭を撫でられながらお菓子を食べつつ、ふんわりとした空気の中で幸せに浸っていました。


end

(アレ買ってきたの俺らなのになぁ)(総長ずりー!ちまっこいの撫でたいー!)(お前等黙れ。チビに気付かれないように睨んできてるぞ)

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