Sweet Time

 目の前にはアイスティー、左横にはちょっと怖い雰囲気のイケメンさん。僕の膝の上には色々な種類のお菓子。そしてそんな僕らのまわりには、たくさんの不良さんがいた。
 んー?と少し首を傾げる。

「僕は何故ここにいるのでしょうか?」
「……覚えてないのか?」

 独り言のような呟きに反応したのは、すぐ隣にいたイケメンさんでした。


 イケメンさんいわく、数時間前。

 「ふん、ふふーん、んんー、ふーん!」

 今日は大収穫でした。セイリアシリーズのうさぎ型チョコにキャンディ、グミに色々。入荷直後でしたので、種類も数も豊富にありました。
 セイリアシリーズのお菓子を取り扱うお店はそうありません。だから、お店に並べられたお菓子達は、きらきらに輝いて見えた程。
 好きなもの、新商品を買い占めてどっさり入った紙袋を手に、ルンルン気分で家路につきます。
 お家に帰ったらどれから食べましょう。考えただけで、今からとても楽しみです。

「う、わぁっ!」
「……っ、」

 曲がり角で勢い良く、大きな何かにぶつかってしまい、反動で地面にひっくり返ってしまいました。

「いたた……」
「……大丈夫か?」
「あ、はいっ」

 どうやら男の人にぶつかったようです。
 尻もちをついた僕に、心配そうな声と一緒に手を差し出されました。ありがたく手を貸して貰おうと、その手に自分の手を重ねようとして……僕は重大なことに気が付きました。

「……あ、あぁあっ!!」
「!?」

 そうです。両手に抱えていたはずの紙袋がありません。大事な大事なお菓子を入れたままなのに!

「どこですか紙袋さんっ!」
「紙袋ってアレか?」
「ああぁあっ!!」

 道路脇の溝に逆さまにすっぽりと入っていました。大惨事でした。

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