くらり揺れて求める

 ぽさりと軽い音と、背中に柔らかい感触がした。見上げれば、視界いっぱいに椿の機嫌が良さそうな可愛い顔がある。その表情がなんだか嬉しくて、腕を伸ばしてぎゅうと首に抱きついた。

「優太」

 優しい声が耳元で名前を紡ぐ。くすぐったくて首を竦めると、ぽんぽんと頭を撫でられた。

「ゆうた、可愛い」

 柔らかい声音と一緒に唇に暖かい感触。大切にされているのがわかるような、優しい雰囲気。
 今の椿は俺だけのもの。俺も椿のもの。その事実が心を満たしていく。

「今日は、手加減してあげないかも」
「……いつも手加減なんてしてないだろ?」
「優太が可愛いのが悪い」
「椿のほうが可愛い」

 笑いあいながらも、椿は手際よく俺のシャツのボタンを外していく。徐々に服を乱されていって、気付くと下もベルトが緩められていた。椿の手が下着の上からゆるゆると俺のを撫でる。
 背は俺のほうが高いのに、椿の手は俺より少し大きい。ほっそりとしていて綺麗な手に自分のが弄られているのを見ると、いつも色んな意味で興奮する。

「っ、はぁ……」
「ね、撫でてるだけなのに下着が濡れてきたよ?」
「ん、言うなって……」
「……可愛い」
「っ!」

 上から見つめてくるその視線に耐えきれず顔ごと目をそらすと、耳にぴちゃりと生温い感触。慌てて耳を押さえて椿を見ると、にこりと笑った彼に顔や首、胸に唇を落とされた。
 そのたびにびくびくと反応してしまうのは、椿のせい。体を重ねるようになってから、椿は事あるごとに俺に触れてくるようになった。嫌ではないけれど、触れ方が凄くエッチで、時々教室とかでもちょっと危ない時がある。

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