2

 あの日から、1ヶ月がたった。アイツがまとわりついてくるのは変わらない。
 でも、いくつかの変化はある。

 一つ目は、いじめがなくなった。二つ目は、

「隼人、早く来な」
「遅いよー」

 少し変わった友達ができたこと。あの時に助けてくれた東原 光輝と、その恋人らしい和風的美人な南 辰弥。辰弥いわく、光輝は外見平凡な非凡というものらしい。それはこの間ので納得できる。
 それから、三つ目。

「はぁちゃん、ゆっくりでいいよー」
「うん」

 俺にも恋人ができました。

 光輝に初めてあった日、連れていかれたのは保健室でも風紀室でもなく、屋上だった。
 そこにいたのが辰弥と、そして平岡 望の二人。聞いてみれば、屋上から制裁の現場が見えたらしく、三人の中で一番喧嘩ができる光輝が来たらしい。
 なるほど、と頷く僕を手当てしてくれたのは望で。チャラけた雰囲気とは合わず、手当てをしてくれた手は優しく暖かかった。

「はぁちゃん」
「うん?」
「ほら、あそこ」

 望が指を差した方向を見ると、もじゃもじゃとその取り巻き。その人たちを見るまわりの目はとても冷ややかな事に、彼らは気付いていない。

「もうすぐでアイツ等は終わりだな」
「ああ」

 光輝と辰弥もそっちを見ていたらしく嘲笑混じりに笑っていた。

「ふふ、コレではぁちゃんもお馬鹿さん達から解放されるねぇ」
「……そうだな」

 自分達で引き起こした事だから、自業自得、といえる。それでも盲目的に一人を愛する事ができるのは、美徳とも言えると思う。

「だぁめだよ。はぁちゃん」
「わっ」
「浮気はゆるしませーん」
「……違うよ。俺が好きなのは望だし」
「えへー、俺もはぁちゃん大好き」

 後ろから抱きつかれて拗ねた声音。くすりと笑ってその腕に手を添えた。

「おいバカップル。気付かれないうちにとっとと行くぞ」
「あ、うん」
「はぁい」

 何時も通りに騒がしい彼らから目をそらして、さっさと歩きだした光輝の後を追う。

 きっと多分、彼らがココから追い出される日は近いと思う。
 この学園に彼らの居場所は無くなったから。彼らの存在を必要とする人がいなくなったから。

「生徒会室に戻ろう」


end

[←前へ 戻る 次へ→]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -