▼ 温もりは睡魔の訪れ
「だから!オマエ等親衛隊ってのは、嫌な奴等の集まりなんだろ!?コイツ等に友達が出来ないようにしたりとかさ!オマエ等最低なんだぞ!……って聞いてるのかよ!?」
「え?あ、ごめん聞いてないや」
生徒会室に呼び出されて、何かと思えばわけのわからない事を言われた。面倒だったからスルーして、あの人が愉快そうにしているのを見てた。もちろん、向こうは僕に見られてるのは知ってる。だって今も目があってるから。
「おい!無視するなんて「最低?」……!そうだ!」
悔しそうに頷いたもじゃに、げんなりする。だって校長の話みたいに長いんだもん。面倒なんだってば。
彼と目をあわせたまま溜息をつけば楽しそうに笑う。だけどため息が気に食わなかったのか、プリンス(笑)とか言われてる副会長が背後に黒い何かを背負いながらニッコリと笑った。
「ちょっと、君、敦の話を遮るなんて良い度胸だね」
まぁ、一般生徒だったら怖気づくかもしれないけど、この程度。僕の隊の副隊長に比べたらヒヨコの睨みのようなものだ。まったく怖くもなんともない。
「というか、一つよろしいですか?」
「だ「はいかYESかわかりましたの返事しか受け付けてません」なっ!!」
もう、うるさいなぁ。このもじゃもじゃ頭め。わかめになってしまえばいいのに。あ、ダメ。こんなわかめは味噌汁に入ってても食べたくないや。
「和食より洋食が好きだから、その辺りはどーでもいいけど」
「?何言ってんのー?意味不明」
僕もあんたの頭の中が意味不明です。チャラ男もどきが。実はチャラ男じゃなくて、幼なじみの風紀委員長さん大好きな一途馬鹿だって知ってるんだけど。どうして風紀委員長が嫌うような言動とるかマジでわかんない。
いらっときたけどこの人はどうでもいい。後で委員長に怒られればいいし。
「まぁ、なんでもいいや。とりあえず一言だけ。……会長様、僕等は解散したほうがよろしいですか?」
「ああ?」
にやり。厭らしく笑ったのは、先程から不遜な態度でふんぞり返る我等が会長様。彼は僕が生徒会室に入ってからずっと、僕だけに視線を合わせていた。
それに気付いていたのは僕だけだったみたいだけど。
「あ、あたりまえだよな!なぁ、鷹也!親衛隊なんていらないよな!?」
「ふん、まぁ親衛隊はあろうがなかろうが困りはしない」
「ほらなっ!」
会長様の言葉に、もじゃもじゃは嬉しそうに声をあげる。隣に並ぶ副会長は訝しげに会長様を見てるけど。あの人はアレで聡いから、言葉の意味に気付いたのかなぁ。
僕の中で少しだけ、ほんの微かに副会長の株があがった。
「聞いただろ!?オマエ等はいらな「親衛隊はな」……え?」