英雄は語り部となりて

 普通平凡ありきたり。全部が俺を現わすに相応しい表現だった。過去形。現在の状況がありえなさ過ぎて、とりあえず逃げ出したい今すぐに。

「大丈夫ですか?」

「救世主様だ」
(違います)
「あの御方が……」
(違います)

 心の中で否定しながら髭のおっさんに連れられて、長い廊下を歩く。聞こえてくる賛辞の言葉も頭の上に浮いている吹き出しで、それが嘘だと判明。ダウト。今の俺なら百戦百勝だ。

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