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「それで?」
「ふふーん。で、俺たちの仲間がこの間、闇討ち食らったわけよ。あんま喧嘩の出来ない子でね、いつも後方支援してた子。途中、なんとか駆けつけたけど、間に合わなかったら色々とやばかった」

 言葉の最後に、寸前まで浮かべていた笑みが一瞬消えた。すぐにアホ面に戻ったが指摘するのは面倒で相槌だけを打つ。

「……胸くそ悪い話だな」
「うん。でね、俺達は今週の土曜に仕掛けようと考えてるわけ。で、どーせならご一緒しませんか?っていうお誘い!もちろん、その時には東吾くんに護衛をつけるよ」

 そこでようやく、こいつの話に納得する。だから今日、吹っ掛けてきた奴ら全員が観察するように見てきたわけだ。
 品定めされているような視線は、どうにも気持ちがいいものではなかった。とっとと帰りたかったが、何故か話を聞いたほうがいいと感じそれに従ったのは正解だったか。

「わかった。俺も参加してやる」
「よかったー、断られたらどうしようかと思った」
「手を貸すのはあいつの為だ」
「わかってるよ、こっちも完膚無きまでに叩きのめしたいだけだからー」

 ――東吾を返して欲しければ指定の場所に来い、と書かれたメールに手が震えた。東吾のアドレスから発信されたその内容に、『自分に関わったから』だと頭に浮かんだのはすぐだった。東吾に教えるべきだったのだ、俺と関わるというのがどういうことかを。
 指定された工場跡地について呑気に甘味にかじりついていた東吾を見るまで、心臓が痛み、頭のなかではぐるぐると物騒な内容の言葉が次から次へと浮かんでは消えていった。
 今さら東吾から離れようなんざ思わない。その為の労力くらい、なんでもないとさえ思う。

「じゃあ後で時間とか連絡するから、メアド教えてー」
「手紙で寄越せ」

 だからと言っても、こいつらからの接触はなるべく最低限にしたい。場所を知られてるなら果たし状とやらのように手紙で十分だろう。

「果たし状の次はラブレター送れって?」
「……」
「うそー。悪かった。でも手紙だと抜き取られる可能性あるから、連絡先ちょーだい」
「……」
「東吾くーん!」
「はい?」
「実は……いってぇ!」
「何でもねぇ、気にするな」
「……はぁ」

 目を丸くしてる東吾に手を振って言うと、俺の足元をちらちらと見ながらも今まで話していた奴に向き直った。このアホは東吾を鶴の一声とでも思っているのだろうか。その都度に東吾に声をかけるな。
 そういった思いも込めて笑みを絶やさない相手の脇腹を蹴りあげる。上手く食い込んだようで、傍らでのたうち回るアホを無視して首を傾げている東吾にほっとけと手を振った。


(あ、副長、総長が起きた)(あはは、やっと?うるさいからもっかい気絶させときなよ)((え))


end

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